【#みんなのギモン】「若い人はいいけど、年をとると大変だよ!」何が困る?…閉鎖相次ぐ「みどりの窓口」
6月2日、東海地方から関東地方にかけて降り続いた大雨の影響で東海道新幹線は午後2時過ぎから終日運転を見合わせました。JR東海によると、この日だけで約3万4000人の乗客に影響が出たといいます。新幹線がストップしたことで、乗客らは乗車変更や払い戻しのために窓口に行列を作りました。
そこで、ふと気になったことが…。そういえば最近、「みどりの窓口」がいたるところで閉鎖されているということです。「みどりの窓口」はなぜ、なくなってしまったのでしょうか?(報道局 調査報道班 川崎正明)
■記者が利用する駅の「みどりの窓口」も廃止に
神奈川県逗子市にあるJR横須賀線逗子駅。人口5万6000人を抱える逗子市の玄関駅であり、葉山町や三浦半島西部へのバスが発着するターミナル駅です。記者は小学生になる長女と通学定期券を購入しようとみどりの窓口を訪れました。すると、いままであった対面式の窓口がなくなっていました。代わりに設置されていたのは、テレビ電話を活用してオペレーターと会話しながら購入する券売機。55歳になる記者は、これを使って購入するか、対面式を求めて隣の鎌倉駅か3駅離れた横須賀駅まで行くか…頭を悩ませました。
■7割も削減…
今、JRの各社では主要駅に設置している「みどりの窓口」を減らしています。JR東日本管内では2021年に440駅に設置していたものを、2025年には約140駅にまで削減する方針です。首都圏にある「みどりの窓口」は、この2年間ですでに94駅で廃止されました。JR東海も対面式の切符販売窓口を減らす方向、またJR西日本も2020年度に340駅に設置していた「みどりの窓口」を2030年度末には約100駅に削減する方針です。
■2022年度に廃止されたJR東日本首都圏管内の主な駅
東京都… 有楽町、大井町、巣鴨、田町、大崎
神奈川県…久里浜、国府津
埼玉県…南越谷、南浦和、蕨
千葉県…銚子、館山
■8割強が“えきねっと”などのチケットレスサービスを利用
なぜ「みどりの窓口」を減らすのでしょうか。JR東日本は削減を推進する理由としてー
・チケットレスサービスの推進・機械や設備、人的資源のコスト削減と効率化
・スペースを有効利用してあらたなサービスを行うため
などとしています。
また、チケットレスサービスを推進してきたことで、2021年3月時点での中長距離切符購入者の8割強が自分で操作する指定席券売機や、“えきねっと”などのチケットレスサービスで購入しているといいます。
■乗車客数第8位のターミナル駅でさえも廃止に?
「みどりの窓口」を廃止した乗り換えターミナル駅を訪れました。東京・足立区にある常磐線北千住駅です。東京メトロや東武鉄道との乗換駅で、JR線だけで1日の乗車人員は約16万9千人(2021年度)と、JR東日本の中でも8番目の数を誇ります。この巨大ターミナル駅の「みどりの窓口」も2022年1月に廃止されました。
「みどりの窓口」があった場所には「話せる指定席券売機」と表示された機械が2台設置されていました。駅職員と対面での切符購入ではなく、オペレーターとテレビ電話で会話を進めながら切符を購入する仕組みです。
JR東日本によると「話せる指定席券売機」は、団体用乗車券の購入とSuica定期券から磁気定期券への発行替えについては未対応ですが、それ以外については、みどりの窓口での対応内容をおおむねカバーしているとしています。特急券などの払い戻しや通学定期券の購入も可能だといいます。
■話せる指定席券売機…気になる2つのコト
ただ、ここで気になることが2つあります。
一つ目は「話せる指定席券売機」の今後の設置予定です。JR東日本管内にある「話せる指定席券売機」の設置駅は2021年には14駅でしたが、今年4月には65駅にまで拡大されました。しかし、「みどりの窓口」が閉鎖されるすべての駅に「話せる指定席券売機」が設置されるわけではないのです。
二つ目は、テレビ電話での会話や操作に慣れていない利用客への対応です。
■「話せる指定席券売機」の利用者は…
熱海の温泉に行くという80代の男性に話を聞いてみると…
「若い人はいいだろうが、年齢がいくと大変です。対面だと乗り換えや待ち合わせなど、細かいことまで会話できるけど、テレビ電話だとねぇ。近くに駅員がいるのだから教えてくれればいいのに。もう少し動いて欲しいです」
別の70代の男性は…
「今回は3回目だったので慣れましたが最初は大変でした」
別の駅で40代の女性に話を聞くと…
「隣の駅のみどりの窓口に行く時間がないのでここに来ました。人気のある列車の予約をするため、発売1ヶ月前の午前10時前に来たのですが、オペレーターにつながるまで10人待ちで20分かかりました。結局、その列車のチケットは取れませんでした」
■55歳記者も利用してみると
記者も利用してみるとオペレーターと通話するまでは2分ほど待ちましたが、あとは通常の窓口と変わらない対応でした。しかし予約列車名などを記入した申し込み用紙を、カメラが読み取れる定位置に置く必要があるなど、高齢者などには慣れが必要だと感じました。
こうした懸念についてJR東日本はー
「状況にもよりますが、購入できない切符がある場合は、駅の改札窓口に申し出てくれれば『みどりの窓口』のある駅までの往復の無料乗車票を発行します」としています。
また「混雑する時期を中心にオペレーターの増強を行い、お困りのお客さまがいらっしゃれば、駅係員がお客さまにお声がけを行い、購入のサポートに努めます」と話しています。
各所で急速に進む機械化で、利便性や時間短縮などが進むのはありがたいことである一方、「みどりの窓口」で駅係員とコミュニケーションをとりながら切符を買うのも旅の楽しみのひとつだった記者にとっては、一抹のさみしさも・・・。皆さまはどうお感じになるでしょうか?