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【#みんなのギモン】韓国で塩の価格が高騰…日本の原発処理水の放出に不安で?

2023年6月13日 19:01
【#みんなのギモン】韓国で塩の価格が高騰…日本の原発処理水の放出に不安で?
スーパーに陳列される塩 (韓国 ・ソウル)

いま、韓国で塩の価格が高騰しています。意外にもその理由のひとつが日本の福島第一原発の処理水の海洋放出に関係しているとの指摘も出ています。一体、なぜ??(ソウル支局・橫田明/調査報道班・川崎正明)

■処理水放出…韓国でも大きな関心

廃炉作業が続く福島第一原発では1000基以上のタンクに処理水を溜め続けてきましたが、国は海水で安全な基準にまで薄めた上で、今年の夏にも海への放出を開始する方針です。お隣韓国では、この福島第一原発の処理水放出計画がテレビ各局のニュースで連日、トップ項目で報じられるなど、大きな関心をもたれています。

12日に行われた国会の質疑では韓国の韓悳洙首相が野党議員から「処理水の安全性が確認されたら飲むことができるのか?」と問われるなど、放出される処理水の安全性が注目されています。こうした中、韓国でいま起きているのが塩の価格高騰です。

ある韓国メディアは塩の小売り価格が平年に比べて6割以上、上がっていると伝えています。塩の産地で生産業者を取りまとめる団体に話を聞くと...

「注文が増えていて、完売になっている。こんな状況は珍しい」と活況ぶりを強調しました。

価格上昇の背景には、消費者が処理水の安全性に不安を感じ、海水を使って精製する塩を、処理水が海洋放出される前に買いだめしておこうという心理が働いたものとの指摘もあります。

■ソウル市民「いまのうちに買っておかないと…」

ソウルで買い物をしていた市民に話を聞くと、「いまのうちに買っておかなければ」とする人も多い一方、「前もって買っておく計画は今ない」と冷静に受け止めている人もいます。実は韓国政府は今月、塩の価格が上がった理由について、天候不良による生産量の減少や梅雨に向けた出荷量の調整があったと説明しています。

■塩の生産量減少が影響か

塩の産地ではことし4月から今月にかけて、平年と比べて雨の降った日が多く、生産量は前年に比べて3割ほど減ったと推計されているということです。また産地では例年、塩の生産が難しくなる梅雨に備えて、5月頃から販売を控える傾向があるというのです。

実際、韓国農水産食品流通公社による調査では塩の小売り価格は一部メディアが伝えているように「平年」に比べたら6割以上価格が上がっているものの、去年の時点ですでに塩の価格は上がっていて、「去年」との比較では値上がり幅は1割ほどだということです。

では、なぜいま、塩の価格高騰がクローズアップされるのか。

天候不良でそもそも価格が高騰する中、福島第一原発の処理水放出が近づいているということが連日、メディアで報じられることで、消費者の不安が広がっているものとみられます。今回の値上がり報道を受け、塩を扱うメーカーの株価が軒並み上がっていて、ある企業ではこの1か月あまりで株価が2倍以上に跳ね上がっています。

韓国政府としては国民の不安を少しでも払拭しようと科学的に検証した上で安全性を示したい考えです。しかし、処理水の放出が近づくにつれて不安視する声はさらに高まりそうです。

■日本での“塩”の価格は?

では、日本での塩の価格はどうなっているのでしょうか。

国内大手の製塩業者「ナイカイ塩業」の担当者は「石炭価格などエネルギー費の高騰により去年、値上げを行ったが、今年、大幅に値上げをすることについては考えていない。また“塩の買いしめ”が起きていることは全くない」と話しました。

■放出に向けての試運転を開始…福島第一原発

福島第一原発では海へ放出するための設備の試運転が6月12日から始まりました。試運転は2週間程度行われ、処理水ではなく真水と海水を使ってポンプなどの動作の確認を行っています。東京電力は6月末までに処理水放出のための設備の準備を完了させる見通しです。