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“山火事”3~4月に多発……ナゼ 原因の2位は農作業、1位は? 「このくらいの風なら」はNG【#みんなのギモン】

2025年3月25日 0:29
“山火事”3~4月に多発……ナゼ 原因の2位は農作業、1位は? 「このくらいの風なら」はNG【#みんなのギモン】
愛媛県や岡山県など各地で、山火事が相次いでいます。3~4月は山火事が最も多い時期ですが、背景には何があるのでしょうか? 山火事の原因で最も多いのは「たき火」で、2番目は農作業の「火入れ」です。自治体も、油断しないよう呼び掛けています。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「春の山火事 原因は不注意?」をテーマに解説します。

■今治市や岡山市でも「山火事」発生

富田徹・日本テレビ解説委員
「岩手県で大規模な山火事があったばかりですが、またしても各地で相次いでいます。23日夕方、愛媛・今治市で発生した山火事は一夜明けた24日午後4時半現在も延焼中で、1011世帯の1887人に避難指示が出されています」

「岡山市でも23日、山火事が発生しました。24日午後4時半時点でも消火活動が行われています。この火事では民家と倉庫合わせて6棟が焼け、403世帯の893人に避難指示が出されています」

「住民からは『命が大事だから避難しなさいと言われた』『家の方が燃えたらどうしようかなと思う』という声が聞かれました」

鈴江奈々アナウンサー
「避難されている方は本当に心配だと思いますが、(岩手・)大船渡市の山林火災を取材していても、なかなか鎮火に持っていくのが大変だということがよく分かりますよね」

斎藤佑樹キャスター
「(火が)消えたと思っていても幹の部分まで燃えている、という話も取材で聞きました。もちろん燃え広がる前に消したいですし、そもそも火の扱いには注意しないといけないなと思いましたね」

富田解説委員
「いったん燃え広がるとなかなか消せないところが恐ろしいところです。愛媛と岡山の山火事の原因はまだわかっていませんが、今は山火事が起きやすい時期でもあります」

■この時期に多い「3つの理由」

富田解説委員
「林野庁によると、1年間で約1300件の山火事が起きています。毎日4件起きている計算です。2019~2023年の平均では、月別で最も多いのが4月(257件)で、次いで3月(225件)です」

森圭介アナウンサー
「3月や4月は乾燥しているから、ということですか?」

富田解説委員
「そうです。この時期に多い理由を3つ挙げます。1つ目は乾燥で、2つ目は春先で山菜採りや行楽で山に入る人が増えるからです。3つ目は、農作業の1つで枯れ草焼きをする時期だからということです」

■山火事の原因は? 2位は農作業

富田解説委員
「下草などを焼く作業が原因の山火事は本当に多いです。林野庁によると、原因として2019~2023年の平均で2番目に多いのが『火入れ』(19.0%)です」

「これは生えている草を焼く農作業のことで、雑草を焼き払って害虫を駆除したり、灰が土壌に栄養を供給したりという効果があるものです」

「そして最も多いのが『たき火』(32.6%)。キャンプで薪を集めて火をつけるというもの以外にも、刈り取った草を庭や畑などで焼くことも含まれています。実際、22日に長野県で起きた山火事は、たき火の火が原因でした」

「火入れやたき火、地方では昔から見かける光景です」

瀧口麻衣アナウンサー
「福井県出身なんですが、他にも田んぼで稲の藁を焼く野焼きも見たことがあります」

富田解説委員
「農作業で行う火入れは、自治体に届け出が必要です。たき火は、イベントで焼き芋をしたりキャンプファイヤーをしたりと軽微なものは例外的に認められていますが、ごみ・廃棄物を燃やす行為は原則禁止です。自治体が定める条例をチェックする必要があります」

鈴江アナウンサー
「自治体ごとにルールが違うということもあるんですね」

斎藤キャスター
「僕が今北海道で造っている野球場のグラウンドでたき火をしましたが、あれはまさに自治体に届け出をしてやりました。そういうことが大事になってきますよね」

鈴江アナウンサー
「ルールを守ることも大事ですけれども、そういったルールを知らない方も中にはいらっしゃるかもしれませんね」

■三原市「乾燥や風が強い日は中止を」

富田解説委員
「そうですね。慣習上、そのようにしてしまうこともあると思います。では、たき火などが大きな山火事につながってしまったケースには、どのようなものがあるのでしょうか?」

「広島・三原市は、市民に『草焼きを原因とする火災の多くは油断により発生します』と呼び掛けています」

「実際にあった例ですが、草に火をつけてから『食事のために少しの時間帰宅しよう』と帰ってしまい、食事を終えて戻ると手に負えないほど一気に燃え広がってしまったというケースもあったそうです」

「2つ目の例ですが、『このくらいの風なら大丈夫だろう』と気象情報を確認せずに肌感覚で大丈夫だろうと思うのも危険です。強い風が急に吹くこともありますし、目を離したすきに風で燃え広がったということもあるそうです」

「実際、山火事の原因をつくってしまった人の話があります。『来週以降は雨模様だから今日しか実施する日がない』と考えていたということです。実際にこういう声はよくあるそうです」

「三原市では『仕事などで週末しかできない場合もあるかもしれませんが、火災になっては元も子もありません。乾燥や風が強い日は中止の判断をしてください』と呼び掛けています」

鈴江アナウンサー
「岡山市や今治市では懸命な消火活動が続いていますが、24日午後4時半現在、乾燥注意報が出ていますし、岡山市では強風注意報も出ています」

「注意報の情報は気象庁から出ているので1つの目安になりますし、そういった情報が出ていなかったとしても火の扱いは本当に気をつけたいですね」

森アナウンサー
「食事のために少し外すなど、自分の理由で火の扱いを邪険にしてはいけないなと、改めて感じますよね」

富田解説委員
「農家だけの話ではなく、これから春の行楽シーズンを迎えるので、バーベキューやキャンプ、登山の時にも、火の取り扱いには十分注意してほしいと思います」

(2025年3月24日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト

最終更新日:2025年3月25日 0:29
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