【解説】誤送金「4630万円」返還拒否で......罪に問える? 元検事「詐欺罪や窃盗罪になり得る」「言い訳にならない」
山口・阿武町が4630万円を誤送金した問題で、返還を拒んでいる男性(24)が警察の事情聴取を受けました。どんな罪になり得るのか、元検事の弁護士に聞きました。男性に返金義務はあり、財産などが調査されますが、回収できない可能性もあるといいます。
■最高裁判例も…「詐欺罪」の可能性
有働由美子キャスター
「(4630万円が誤送金された問題で)警察が事情聴取したといいます。(返還を拒否している男性が)罪に問われる可能性はあるということですか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「そうです。大阪地検の元検事で現在弁護士の、亀井正貴さんに聞きました。1つは、銀行をだましたという詐欺罪の可能性が考えられるといいます」
「約20年前、事業者から本来税理士に支払われる顧問料75万円が、手違いで別の人物に振り込まれ、この人物が借金返済に充てようと考えて銀行窓口でこのお金を引き出した事件がありました」
「誤って自分のもとに来たお金だと知りながら、銀行の係員の前ではあたかも自分の金であるかのようなふりをして引き出したとして、2003年に最高裁が詐欺罪と認めました」
「今回(返還を拒んでいる)男性は、スマホの操作でお金を動かしたと説明しています。ただ亀井弁護士は『窓口でなくATMやネットバンキングで送金しても、銀行をだましたことには違いない。この場合は電子計算機使用詐欺罪になり得る』と指摘しています」
■「窃盗罪」の可能性も…弁護士「犯意強い」
「もう1つの可能性は、窃盗罪です。『誤って送金されたと知りながら、自分のお金ではないのにATMから現金を引き出したら窃盗罪になり得る』と言います」
有働キャスター
「誤って振り込まれたと知ってやったか、知らずにやったかで違うということですね」
小野委員
「1万円や2万円の場合は知らずに引き出して使ってしまったということもあるかもしれませんが、亀井弁護士は『4630万円も振り込まれていて、気づかないはずはない。言い訳にならない』と話しています」
「さらにこの男性の場合、銀行から『間違いだった』とすぐに連絡を受けたにもかかわらず、その後お金を動かしているので、より犯意が強いことになるといいます」
■回収不能で「泣き寝入り」?
小野委員
「(男性が)お金を使ってしまったとしても、返金義務はあります。本当にお金がないのかきちんと調べ、家族や親族、そして知人など第三者にお金が隠されていないかも確認するといいます。そして差し押さえる財産がないかも調べます」
「返せるものが本当にないとなった場合、亀井弁護士は『(山口県阿武)町や町民が泣き寝入りとなる可能性もある』と言います」
有働キャスター
「ご本人からしたら『振り込んだ側のミスじゃないか』など言いたいことはあるかもしれませんが、そのお金はみんなが納めた税金ですから、返してください」
(5月16日『news zero』より)