拡散のみでも「罪」に…誹謗中傷なぜ起きる? “思い込みによる正義感”が仇に 専門家「特定され警察が動くと想定していない」
「殺してあげよっか」と書いたメールを送って池袋暴走事故の遺族を脅迫したなどとして、14歳の女子中学生が書類送検されました。誹謗中傷はなぜ生まれるのか、どんな罪に問われる可能性があるのか。加害者にならないために注意すべきことを考えます。
「14歳の女子中学生が書類送検される事態となりました。子どもに限らず大人も含めて、誹謗(ひぼう)中傷の加害者にならないために、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「SNSに詳しい国際大学の山口真一准教授によると、今回の女子中学生がそうかは分からないものの、加害者になる人は自分なりの正義感を持っていて、誹謗中傷しているという意識がないことが多いといいます」
「例えば、信ぴょう性のない情報を鵜呑みにして批判のつもりで書いたものが誹謗中傷にあたるなど、思い込みによる正義感が被害者への誹謗中傷につながることもあると指摘しています」
「そのため、インターネットに書き込む前に、一度冷静に見直して考えることが必要です。TikTokなどSNSによっては、AIが侮辱的な言葉を検知して投稿前に警告するという機能もあるそうです」
藤井キャスター
「書き込む前に一度立ち止まることが大切なのですね」
小栗委員長
「教育現場でも、誹謗中傷に対しての取り組みが行われています」
「民間と総務省・文部科学省が協力して行っている『e-ネットキャラバン』。誹謗中傷を含めたネット上のトラブルについて全国の小学校・中学校・高校に無償で出張講座を行っています。昨年度は2166の学校などに出向き、39万人が受講したということです」
藤井キャスター
「実際に加害者になってしまったとして、どのような罪に問われるのでしょうか?」
小栗委員長
「SNS上などで誹謗中傷を行うと、名誉毀損罪や侮辱罪などに問われる可能性があります。匿名の投稿であってもIPアドレスをたどることで発信者を特定できます。また、自分が投稿していなくても、拡散したことで罪に問われることもあります」
「山口准教授も『自分が特定されて警察まで動くと想定していない人が多い』と話していました。誰かが投稿した誹謗中傷に安易に同調したり、拡散したりすることにもリスクがあると知っておきたいですね」
藤井キャスター
「野口さんはお子さんがいらっしゃいますが、どのように感じていますか?」
野口啓代(スポーツクライミング五輪銅・『news zero』木曜パートナー)
「特定の誰かを攻撃するようなことは匿名だからこそできると思いますし、罪に問われかねないという意識が薄いのかもしれないですよね。教育の現場ではもちろんですが、家庭でも子どもとしっかり向き合っていかないといけない問題だなと改めて感じました」
藤井キャスター
「SNSは自分の手のひらにあるスマートフォンが世界とつながっているからこそ、ワクワクするのだと思います。ただ、その世界の広さを想像できない場合、自分の発言が誰かを傷つけ、言葉で人の命を奪うことにもつながりかねません」
「オーストラリアでは16歳未満のSNS利用が禁止される法案が可決されましたが、丸腰でSNSの世界に出ていくことの危険性をよく理解して、自由で前向きな発信につなげてほしいと思います」
(11月28日『news zero』より)