貧困・児童婚…教育受けられない女の子たち
キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。13日は、「女の子の権利」をテーマに日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。
■国際ガールズ・デー
10月11日は、国際ガールズ・デーということで、「羽ばたけ!世界の女の子」と題したイベントが行われました。イベントでは、インドの大学生プリヤンカさん(18)が、貧しい家庭環境の中で女の子が教育を受けることの難しさなどについて訴えました。
世界には「女の子だから」という理由で、学校に行けない子、差別や暴力を受けている子などが数多くいます。そういった女の子たちを救うため、国連は10月11日を「国際ガールズ・デー」と定めているんです。
■貧困・児童婚…教育を受けられない女の子たち
ユネスコによりますと、世界中で学校に行けない子どもたちは、13年の時点でおよそ5926万人。そのうち女の子は3089万人となっていて(男子2837万人)、男の子に比べて252万人も多いんです。
大きな理由のひとつは性差別です。貧困の中で、女の子は「稼ぎ手として期待できない」として、女の子の教育にはお金をかけられないという考え方があります。また、児童婚の問題もあります。アジアやアフリカの一部では、古い風習から、幼いうちに望まない結婚をさせられ、教育の機会さえも奪われてしまうんです。
■「世界の理解、全然足りてない」
こういった厳しい現状を知ってもらおうと、国際ガールズ・デーイベントに登場したインドの大学生・プリヤンカさんが9日、都内の高校を訪れ自らの体験を話しました。
プリヤンカさん「家族は弟に勉強を続けさせるため、私に勉強をあきらめさせようとしました。高度な教育を受けている女の子たちは、結婚相手として敬遠されるという事情もあります」
プリヤンカさんは、今ではNGOの支援を受けて学校に通っているんですが、その話を聞いた日本の高校生は、次のように話していました。
高校生「(インドでは)高い教育を身につけるほど、男性から敬遠されると初めて知った」「子どもが思っていることを、あきらめさせようとするほど、女の子の教育について、世界の理解は全然足りてないなって」
■求められる多面的な支援
プリヤンカさんの様な環境にある女の子たちに教育を受けさせてあげるには、例えば、教育費や、ノート、制服などの支給といった経済面での支援だけではなく、女子教育の重要性を家族や地域の人々に訴え、理解を得ること。親の収入を増やし、女の子の教育費を確保するため、裁縫などの就労支援など生活全般を包括的に支えることで、女の子と家庭の生きる力を育む、つまり自立できるようにすることが必要です。
■「自立支援」日本ではシングルマザーに
実はこの「自立を支援する」という考え方は、東日本大震災の被災地でのシングルマザーの支援にも取り入れられ始めているんです。関西学院大学の大崎麻子客員教授によりますと、「経済状況の厳しいシングルマザーに必要なのは、安定した生活基盤を作れるような“自立支援”」「それには国際協力で行われている、就労・子育て・生活を分断せずに『生きること全般』を包括的に支援するような取り組みが必要」だということです。
実際に、岩手でひとり親世帯の支援を行うNPO法人・インクルいわてでは、就業支援として、女性にパソコンなどの技術を教えるだけでなく、実際に、その女性を雇って事務所で実務経験なども積んでもらうということなんです。ひとり親世帯という同じ境遇の人が集まれば、不安や悩みも解消し、女性の自立支援につながるということなんです。
■きょうのポイント
きょうのポイントは、「家族や社会の支え」です。途上国と日本では、女性をめぐる環境は大きく異なります。でも、いずれも、女性が女性だからと差別されることなく、活躍できることは、社会の成長のためにも欠かせません。それには、もちろん、女性だけが頑張ればいいということではなく、教育や仕事の場で、女性の力を引き出していくという家族や社会の支え、サポートも、必要なのではないでしょうか。