今必要なのは「人材」宮城・石巻市から中継
11日、東日本大震災から5年を迎えた。宮城県石巻市からミヤギテレビ・伊藤拓アナウンサーが報告する。
あの日襲った巨大な津波で、港町の風景は一変した。5年がたち、海の近くにも新しい建物が増え、復興が進んでいるようにも見えるが、その陰で様々な課題も出ている。
11日朝の沿岸部では、各地で犠牲者への祈りをささげる人たちの姿が見られた。警察庁によると10日現在、震災で宮城県では9541人が犠牲となり、また、県によると震災関連死は1月末現在で920人に上っている。10日現在で、1236人の行方が依然として分かっておらず、11日も沿岸部では集中捜索が行われた。
また、日々その数は減っているものの、1月末現在でいまだ4万3000人以上が仮設住宅での暮らしを余儀なくされている。
災害公営住宅は約5割が完成したものの、事業の進み具合に地域で差が出ている。また、集団移転先の完成を待つ人の中には少なくともあと3年は新たな住まいに移れない人もいるとみられる。
こうした事業の遅れの要因のひとつとなっている慢性的な人手不足は、企業など民間の復興へ向けた歩みの足かせともなっている。
さらに、女川町や南三陸町など沿岸部の多くの自治体では震災後、人口減少と高齢化に拍車がかかり、地域の活力の低下にどう取り組んでいくかも大きな課題となっている。
被災地に今必要なものは、モノではなく「人材」。石巻では、「水産加工の工場が元通りになっても、働き手が帰ってこない」と話す方がいた。被災地にどれくらいの人材が帰ってきて街づくりを進められるかが、今後の課題となりそうだ。