津波時の避難行動巡り、小学校側の責任認定
東日本大震災当時、宮城県東松島市の小学校での津波からの避難行動を巡って、遺族が市に損害賠償を求めていた裁判で、仙台地裁は、原告のうち1人の児童について学校側の責任を認め、2600万円余りの支払いを市に命じた。
この裁判は震災当時、避難していた東松島市の野蒜小学校の体育館で津波で犠牲になった住民2人の遺族と、学校側から同級生の親に引き渡された後、津波に遭い、自宅周辺で亡くなった児童1人の遺族が、市に対し総額5300万円余りの損害賠償を求めていたもの。
裁判では小学校の体育館まで津波が来ると予測できたかどうかや、児童の引き渡しなど学校側の当時の対応が争われていた。
判決で大嶋洋志裁判長は、津波の予測可能性については「体育館に津波が到達することの予見は不可能」と市側の主張を認め、住民2人の遺族らの訴えは退けた。一方、犠牲となった児童については、「同級生の親に引き渡された児童が、その後、津波に巻き込まれることは予見できた」などとして学校側の責任を認定。児童の遺族に約2660万円を支払うよう市に命じた。