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「主夫という生き方」育児や家事は任せて

2016年3月31日 13:47
「主夫という生き方」育児や家事は任せて

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。30日のテーマは「主夫になりたい男たち」。日本テレビ・小栗泉解説委員が読み解く。


■「主夫」に関するイベント その趣旨とは
 先週、東京・新宿区で男性が家事や育児を担う「主夫」に関するイベントが開かれた。この日、イベントに集まったのは20代~50代の独身男女30人。主催したのは、現役の主夫のネットワーク「主夫の友」だ。この会は「女性の社会進出を3割増やすなら、男性の家庭進出も3割増やす」を目標に去年6月にスタートした。参加した人たちからは「働く女性を応援するのに、男性も家事を積極的にやっていきたいという趣旨がすばらしい」「僕も兼業で働きつつ、女性も働いて、お互い成長し合える夫婦になれたら…」という声が聞かれた。

 今、「女性の活躍」が叫ばれているが、実は「男性の家庭進出」こそが実現のカギといわれている。一部の企業では残業をなくす、といった取り組みも行われているが、いくら制度を整えても、男性が考え方を変えない限り、女性の家事や育児、介護などの負担は減らせない。少子化ジャーナリストの白河桃子さんによれば、いま男性の「専業主夫」は、日本に11万人いるという。ただ、これは正確には「第3号被保険者」の男性が11万人いるということで、妻の扶養に入っている男性で、仕事をしていても年収130万円未満という定義なので、実際に家事や育児をメーンで担当しているかどうかはわからない数字だ。ちなみに女性は921万人だという。


■男性の家庭進出を進めるには
 内閣府の調査では「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方について、「賛成」44.6%「反対」49.4%という結果だった。反対が賛成をやや上回っているが、実際に家事を主に担っているのは女性のようだ。OECD(=経済協力開発機構)の調べでは、日本の男性が家事などの無償労働にあてる時間は、調査した国の中では最低レベルで一日1時間2分、これに対して女性は約5倍の4時間59分だった。

 男性の家庭進出を進めるには、どうしたらいいのだろうか。その秘訣について、冒頭で紹介した主夫のイベントを主催した堀込泰三さんによれば、男性の家庭進出を進めるには「制度、風土、意識」の3つのポイントがあるという。制度も風土も改革は進んできていて、残るは「意識」。人々の固定観念を打ち破るには、「情報発信」が大事だと話していて、定期的にイベントなどを行っている。


■「主夫」になったきっかけは震災
 実際に男性が主夫をしているお宅にお邪魔した。坪井博一さん。自宅でインターネットを使った商品の販売も手がける「兼業主夫」だ。夕方4時すぎ、夕食の下ごしらえの真っ最中。

 博一さん「大体、下ごしらえをして、あとはいためるだけとか、煮るだけとか、そういう風にして大体、お迎えに行ってますね」

 二人の娘がいる博一さん。歩いて10分ほどの距離にある保育園と児童館をまわる。長女の遥風ちゃんは7歳。二女の優風ちゃんは3歳だ。博一さんは休む間もなく、材料をいため始める。帰宅してわずか5分でドライカレーが完成した。

 午後5時半。建設会社で事務をしている妻の朱美さんが帰宅した。料理の仕上げは朱美さん。夫婦で協力して夕食を用意する。博一さんが主夫になったのは5年前。震災をきっかけに、もっと家族との時間を大切にしたいと自宅でできる仕事に変わった。

 博一さん「“主夫”で悪いことって特にないし、意識、価値観を変えればもっと楽しい世界があるのにと思う」

 朱美さん「主人も色々やってくれるので、我が家は今とても有効に時間を使えている感じ」

 今回のポイントは「選択肢を増やす」。「男性の主夫」と聞くと、なんとなく気持ちがざわざわするという方もいるのではないだろうか。それは「男はこうあるべき、女はこうあるべき」という固定観念が社会に根強くあるからかもしれない。男性にも女性にも、働き方や生き方の選択肢を増やすことが、みんなが生きやすくなるカギではないだろうか。