真夜中の青空 ~ひとり親救う夜間託児所~
福井市の繁華街・片町に夜間託児所ができました。代表は片町でバーを経営する3人の子を育てたシングルマザー。彼女のもとには孤独と貧困にあえぐひとり親たちが相談に訪れます。そんなひとり親たちを孤立させまいと心を砕きます。繁華街の夜間託児所を通して見つめる夜の親子の物語。
夜の町の託児所。そこには、いつも青空が広がっていました。
1人で子育てをしながら働くシングルマザーが多い"夜の街"、福井市片町。
そんな"シンママ"たちを支えようと、この町に夜間託児所が作られました。
柿木さん「夜働いているお母さんたちの子どもたちって、夜今までひとりだった子もすごく多くて」
託児所を作ったのは、近所でバーを経営する 柿木有紀さん。
夜7時過ぎ、母親の出勤に合わせて子どもたちがやってきます。親を待つ夜の寂しさを和らげてあげたいと、 天井には青空が。
料金は認可保育所並みの低価格。
利用者「やっぱり働いている同じ片町にいるというのでも安心するし、頑張ろうってなるんで」
無認可のため行政の支援はありません。おもちゃや絵本は全て寄付されたものです。託児所では週に2回お弁当を出していて、バーの店長が作ります。
柿木さん「なんかハートとか、かわいいケチャップできんの?」
柿木さん「ほら上手!そっちのほうが絶対喜ぶよ」
バーの店長「お弁当もって来ました」
子ども「遅かったよ~」
バーから託児所までは歩いて1分。温かいまま届けます。
ここで一番のお姉さんの、りょうちゃん。
りょうちゃん「これいやの?」
ぐずる子の世話をします。託児所は深夜2時まで。お迎えのピークは母親の仕事が終わる深夜1時ごろ。この日、最後になったのはりょうちゃん。
りょうちゃん「最近ぎりぎりの日多くない?」
りょうちゃんの母親「忙しいんや」
りょうちゃん「(忙しいのは)いいことだけど…」
母親はりょうちゃんが3歳のときに離婚。この町で懸命に働き、1年半前に夢だった自分の店を持ちました。
りょうちゃんの母親「毎日頑張ってって言ってくれるし、子どもから見て恥ずかしくない母親になりたいので。一生懸命頑張って仕事をしていたら、ちゃんと背中を見てくれていると思うので」
託児所を経営する柿木さんも2度の離婚の後、片町に店を出し、3人の子どもを育ててきました。今は高校3年生の末っ子、 麗さんと暮らしています。
柿木さん「何度も寂しいってことは言われて。母子家庭支援とかやり始めた頃だったので、うちも母子家庭なのにって(言われた時)、はっと思いましたよね」
そんな母親に、麗さんが中学の卒業式で渡した手紙。
手紙「どんな時も前向きで、決してあきらめることのないママを尊敬してます。いつも一番に考えてくれていて愛されていること、本当は分かってるよ」
麗さんは受験勉強をしながら託児所を手伝っています。夜の孤独を知る麗さん。大学は福祉の道に進むつもりです。
麗さん「私自身が母子家庭で育ったのと、お母さんがその支援をする仕事をしてるから私もやりたいなと思ってます」
困っているひとり親家庭を、決して孤立させない。柿木さんは今、託児所で不登校の子どもたちの受け入れも始めました。
柿木さん「私のやってることは、多分こんなことで世界なんか変わらんしさ。福井が変わる、日本が変わるわけではないと思うけど、でも誰かがやらないと。何かあっても『じゃあ有紀ママのとこ行けばいいや』とか、『お腹すいたからお米もらおうかな』とか、そんなんでも、なんでもいいの」
どんな親子にも、いつも…青空が広がっていますように。
2022年9月11日放送 NNNドキュメント’22『真夜中の青空~ひとり親救う夜間託児所~』をダイジェスト版にしました。
夜の町の託児所。そこには、いつも青空が広がっていました。
1人で子育てをしながら働くシングルマザーが多い"夜の街"、福井市片町。
そんな"シンママ"たちを支えようと、この町に夜間託児所が作られました。
柿木さん「夜働いているお母さんたちの子どもたちって、夜今までひとりだった子もすごく多くて」
託児所を作ったのは、近所でバーを経営する 柿木有紀さん。
夜7時過ぎ、母親の出勤に合わせて子どもたちがやってきます。親を待つ夜の寂しさを和らげてあげたいと、 天井には青空が。
料金は認可保育所並みの低価格。
利用者「やっぱり働いている同じ片町にいるというのでも安心するし、頑張ろうってなるんで」
無認可のため行政の支援はありません。おもちゃや絵本は全て寄付されたものです。託児所では週に2回お弁当を出していて、バーの店長が作ります。
柿木さん「なんかハートとか、かわいいケチャップできんの?」
柿木さん「ほら上手!そっちのほうが絶対喜ぶよ」
バーの店長「お弁当もって来ました」
子ども「遅かったよ~」
バーから託児所までは歩いて1分。温かいまま届けます。
ここで一番のお姉さんの、りょうちゃん。
りょうちゃん「これいやの?」
ぐずる子の世話をします。託児所は深夜2時まで。お迎えのピークは母親の仕事が終わる深夜1時ごろ。この日、最後になったのはりょうちゃん。
りょうちゃん「最近ぎりぎりの日多くない?」
りょうちゃんの母親「忙しいんや」
りょうちゃん「(忙しいのは)いいことだけど…」
母親はりょうちゃんが3歳のときに離婚。この町で懸命に働き、1年半前に夢だった自分の店を持ちました。
りょうちゃんの母親「毎日頑張ってって言ってくれるし、子どもから見て恥ずかしくない母親になりたいので。一生懸命頑張って仕事をしていたら、ちゃんと背中を見てくれていると思うので」
託児所を経営する柿木さんも2度の離婚の後、片町に店を出し、3人の子どもを育ててきました。今は高校3年生の末っ子、 麗さんと暮らしています。
柿木さん「何度も寂しいってことは言われて。母子家庭支援とかやり始めた頃だったので、うちも母子家庭なのにって(言われた時)、はっと思いましたよね」
そんな母親に、麗さんが中学の卒業式で渡した手紙。
手紙「どんな時も前向きで、決してあきらめることのないママを尊敬してます。いつも一番に考えてくれていて愛されていること、本当は分かってるよ」
麗さんは受験勉強をしながら託児所を手伝っています。夜の孤独を知る麗さん。大学は福祉の道に進むつもりです。
麗さん「私自身が母子家庭で育ったのと、お母さんがその支援をする仕事をしてるから私もやりたいなと思ってます」
困っているひとり親家庭を、決して孤立させない。柿木さんは今、託児所で不登校の子どもたちの受け入れも始めました。
柿木さん「私のやってることは、多分こんなことで世界なんか変わらんしさ。福井が変わる、日本が変わるわけではないと思うけど、でも誰かがやらないと。何かあっても『じゃあ有紀ママのとこ行けばいいや』とか、『お腹すいたからお米もらおうかな』とか、そんなんでも、なんでもいいの」
どんな親子にも、いつも…青空が広がっていますように。
2022年9月11日放送 NNNドキュメント’22『真夜中の青空~ひとり親救う夜間託児所~』をダイジェスト版にしました。