梅雨時のだるさ解消法 ポイントは自律神経
キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。2日のテーマは「梅雨と健康」。諏訪中央病院・鎌田實名誉院長が解説する。
■自律神経の乱れとは?
天気と体の関係に詳しい愛知医科大学・佐藤純客員教授によると、「梅雨の時期は気圧が低く、湿気が多いことで自律神経が乱れ、だるさやむくみなど体に不調が現れる」という。
まず、人間の体調は自律神経のバランスによって保たれている。自律神経は日中、体を活動させる時に働く交感神経、夜、体を休ませる時に働く副交感神経に分かれている。
これを“鎌田流”に言うと“がんばる”神経と“がんばらない”神経。1日を通して、この2つの神経のバランスがとれていると体調がいい状態を保つことができる。
■気圧と副交感神経
梅雨の時期は気圧が低くなるが、実はその影響で副交感神経が刺激されて日中でも体が休息モードになってしまう。日中は仕事などで体を動かさなければいけないのに、体がついてこなくて疲れやすくなったり、憂鬱になったりして、だるさを感じることになる。
■梅雨時のだるさ解消法は?
簡単に言えば、夜はしっかり寝て体を休め、朝は体を目覚めさせるスイッチを入れることだ。それにはしっかり寝るための準備が必要だ。
まず、夕食後、10分でもいいので少し早歩きでウオーキングをしてほしい。軽い運動で交感神経を働かせて汗をかくことで程よく疲れを感じてほしい。その後はお風呂に入るといい。少しぬるめだと感じる温度のお湯につかると副交感神経が働いてリラックスした状態になり、ぐっすりと眠ることができる。
夜はシャワーで済ませがちな人も、ゆっくりと湯船につかったほうがいい。そして、朝は逆に少し熱めのシャワーを浴びて交感神経を働かせることで体を目覚めさせるといい。自律神経のバランスを整えることで日中はしゃきっと活動することができ、だるさの解消につながる。
■風呂やシャワー以外の方法は?
自律神経を整えるためには、何をどのように食べるのかという事も大切だ。
管理栄養士で東京家政大学・和田涼子教授によると、自律神経のバランスを整えるには「1日3食、だいたい決まった時間にしっかり食べて生活リズムを整えること」「特に大切なのはビタミンB1を含む食品」だという。ビタミンB1を特に多く含むのは豚肉やうなぎ、ごまやカシューナッツなどだ。
■なぜビタミンB1がいい?
ビタミンB1は炭水化物などに含まれる糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素だ。
食欲が落ちてくる時期はつい、そうめんやうどんなど麺類だけで済ましてしまう人も多いと思うが、そんな時、ビタミンB1が不足するとエネルギーに変えることができず、疲れやすい状態になってしまうという。
ただ、何にしても偏った食生活はよくないので、食生活の基本「あらゆる食品をバランスよくとること」が大切だ。
■メリハリをつける
交感神経と副交感神経は自分の意思ではコントロールできない。ただ、朝は熱めのシャワーと朝食をしっかりとって“がんばるスイッチ”を入れ、夜はぬるめのお風呂で“がんばらないスイッチ”を入れることが、だるさの解消につながる。
不調を起こしがちな梅雨を前に、メリハリをつけた生活を心がけてみてはどうだろうか。