海外では出産例も「子宮移植」の課題とは?
生まれつき「子宮」がない女性らの妊娠・出産を可能にする国内初の「子宮移植」手術に向け、慶応大学のチームが早ければ今年中にも臨床研究の申請を行うことが分かった。どのような方法で行い、どんな課題があるのだろうか。
慶応大学では生まれつき「子宮」がないロキタンスキー症候群の女性が出産するため、第三者の子宮を移植する研究を続けており、サルでは移植と出産に成功している。研究は関連学会などの議論、判断を得た上で、ロキタンスキー症候群の女性5人について子宮移植を目指すという。
今回検討されている手術は、生まれつき子宮のない女性に母親や姉妹から子宮を移植するケース。閉経後の母親の子宮も胎児を育てる機能は残っていることから中高年からの子宮移植も可能だとされている。そこに体外受精した夫婦の受精卵を戻す方法をとる。
海外で子宮移植はすでに行われていて、スウェーデンではこれまでに9件実施され、そのうち5件が出産に至っている。一方で失敗した例もある。サウジアラビアでは移植した子宮が定着せず壊死してしまい子宮を摘出したという事例もある。
今後の課題として「移植後に投与される薬の母体や胎児への影響」などがある。また、子宮移植は「生命維持」が目的ではないため、社会に受け入れられるのか議論が求められる。