「離岸流」に注意…水難事故どう防ぐ?
最も水難事故が多い8月。命を守るため、海や川で遊ぶ際に注意するべきこととは――
■「離岸流」とは
8月11日から13日の3日間だけで、水難事故で18人が亡くなっている。このうち、海で亡くなったのは14人。中でも、福岡県古賀市で子供2人と、助けようとした男性2人が亡くなった事故現場は、「離岸流」が発生しやすい場所だった。日本ライフセービング協会によせられた海での水難事故の原因のうち、実に半数を占めるという。
離岸流というのは、岸に向かって押し寄せた波が、波打ち際で行き場を失い、今度は岸から沖に向かってできる逆方向の急激な潮の流れのこと。実験映像では、両側から岸に向かって波が押し寄せる中、離岸流を表す緑色のマーカーが、沖へ向かって広がっていくのが分かる。
離岸流を人工的に発生させた実験映像では、一気に沖まで流されてしまうのがわかる。流れは速いところで、秒速2メートルにもなるため、オリンピック選手でさえも、その流れに逆らって泳ぐのは難しいという。
■巻き込まれてしまったら―
もしも、離岸流に巻き込まれてしまった場合は、どう対応すればいいのだろうか。水難学会によると、流れに逆らうのではなく、岸と平行に泳いで、離岸流から抜け出すことが重要だという。泳ぎに自信がなかったりする場合は、体力が減るのを防ぐため、全身の力を抜き、背浮きして、救助を待ったほうがいいようだ。
■ゴミが集まる場所に注意
そもそも、離岸流というのは、どういう場所で起こるものか。日本ライフセービング協会によると、波が押し寄せる場所ならばどこであってもいきなり起きる可能性があるが、注意すべき場所もある。
1つ目が、ゴミが集まっている場所。流れがここに集中していて、そこから沖へ向かって離岸流が発生する可能性がある。2つ目は、海岸線や地形がデコボコしている場所。3つ目は、海岸に突堤がつきだしている場所では離岸流が起きやすいという。
■川は「浅瀬」に注意
一方で、海だけではなく、川での事故も相次いでいる。11日には、新潟県湯沢町を流れる魚野川で、友人などと川遊びに来ていた男子高校生が対岸に渡ろうとしたところを流され、亡くなった。他にもこの3連休で岐阜県と高知県でも死亡者が出ている。
川ではどういう所に注意が必要なのか。水難学会によると、川で注意すべきは、滑ることだという。浅瀬などでは、川の底まで光が当たるため、石に藻が繁殖していたり泥がついたりして、滑ってバランスを崩しやすい。体ごと川に落ちて、そのまま流されてしまうケースも多いので、ライフジャケットを着用したり、川専用の滑りにくい靴などで対策することが重要だ
■その油断が危ない
海や川のレジャーを楽しむにあたって、「これまで身の回りで事故は起きていないから大丈夫」「身近な川だから大丈夫」、そんな風に思ってはないだろうか。その油断こそが危険を招く。
思いもよらない大きな波や、川の流れがあるかもしれず、大人が目を離した一瞬のスキに、子どもがおぼれてしまうかもしれない。海や川に近づく際には、ライフジャケットを着せるなど危険を避ける備えをして安全に遊ぶことも重要だ。