金属製品は危ない?落雷から身を守るには
先週末、関東は天気が荒れた。東京・世田谷区の花火大会会場では雷が落ち、9人が病院に搬送される事態となった。不安定な天気が続く中、落雷から身を守るにはどうしたらいいのか。
警視庁などによると、落雷現場は川沿いの運動場で、19日午後6時頃、ポールに雷が落ちた。花火大会は雷雨で中止になったが、会場には多くの人が集まっていて、ポールの近くにいた男女9人が手足のしびれや呼吸のしづらさを訴え、病院に搬送されたという。
専門家によると、ポールに落ちた雷は地面を伝って周囲に広がり、近くにいた人が感電したとみられる。
■落雷による死亡事故
過去には落雷による死亡事故も起きている。2014年8月、愛知県扶桑町の高校で野球の練習試合中、当時2年生の男子生徒が雷の直撃を受け、翌日に死亡した。グラウンドには100人ほどがいたが、男子生徒はピッチャーとしてマウンドに立っていたという。
その他に野球の試合中に起きた事故として、去年8月に埼玉県川越市の高校のグラウンドに雷が落ち、男子生徒が心肺停止になった。
また、去年7月には沖縄県糸満市の海水浴場でビーチ内の広場を歩いていた男性に雷が直撃し、一時心肺停止状態になった。近くにいた男性3人も軽傷を負っている。
さらに、2015年には埼玉県富士見市で、自転車で走っていた女子生徒3人の近くに雷が落ちるなど、様々な状況で被害が出ている。
■落雷から身を守るには
では、どうやって落雷から身を守ればいいのか。雷は近くに高いものがあると落ちやすい傾向にある。ビルなどの鉄筋コンクリートの建物や自動車、電車などの乗り物の中は比較的安全な場所とされているため、こうした場所に避難することが大事だ。
もし、近くにこうした場所がない場合、電柱や木など高いものを探す。それらを見つけたら、そのてっぺんを45度以上の角度で見上げ、なおかつ4メートル以上離れた場所で姿勢を低くする。
4メートル以上離れた場所を「保護範囲」という。落雷があっても、自分ではなく電柱などの方に落ちる可能性が高くなるため、感電するリスクが低くなる。
■高いものがなかったら?
近くにこうした電柱などがなかった時、雷専門の気象会社である「フランクリン・ジャパン」の岸田拓己さんによると、「しゃがんで、できるだけ姿勢を低くすることが大事」だという。
ただし、その際に「胸を地面に付けて、はいつくばると心臓が地面に触れてしまい、電気ショックの危険があるので、避けた方がいい」という。
姿勢を低くする際は、しゃがんで、できるだけ姿勢を低くした上で、耳を塞ぐ「雷しゃがみ」というしゃがみ方をするとよい。落雷の際には、大きな音がして鼓膜が破れることもあり、それを防ぐためだという。
また、しゃがむ際には足を閉じるとよい。例えば立った状態でも足が開いていると、左足から体内、右足へと抜けていくような電気の通り道ができてしまうので、それを防ぐための姿勢をとってほしいという。
■金属製品は危ない?
金属を身につけていると危ないという話も耳にするが、岸田さんによると、「金属が雷を引き寄せることはなく、基本的には高いところに落ちる」という。例えば、傘を差すと自分より高さが出てしまうから、雷雨の中では避けた方がいいだろう。
■身を守る情報入手
雷のシーズンは夏で、特に8月が一番多くなる。ちょうど夏の屋外イベントも多い時期なので、主催者はもちろんのことだが、参加する側も自ら天気の急変に備えて雷の情報を集めるなど、身を守る準備を心がけることが大事だろう。