厚労省、高額な薬の価格値下げへ改革案公表
増え続ける医療費を抑えるため、厚生労働省は、高額な薬の価格を下げやすくする抜本的改革案を公表した。
厚労省が22日に中央社会保険医療協議会に示した改革案は、薬の価格を2年に一度見直す制度を変更するもの。
公的な保険が使える薬のうち、別の病気の治療にも使えるようになるなどで売り上げが急増し、年間の販売額が350億円を超えるものについては、年に4回まで価格の見直しを可能にするとしている。これは、抗がん剤「オプジーボ」のような高額な薬による医療費の増加を抑えるため。
厚労省は、この改革により、最大で年間2900億円の医療費を削減できると試算し、年内に正式決定する予定。
こうした中、健康保険組合連合会など6団体は、医療費の増加で、保険料を納める世代の負担が限界に来ている、として、医療機関の収入となる「診療報酬」を引き下げるよう、22日、厚労省に要望した。
診療報酬とは、患者が保険証を示して受診する場合、保険の制度から医療機関に支払うお金。治療や手術ごとの「技術料」として全国一律でいくら、と決められていて、これが医療機関の収入になる。
診療報酬の中には、もう一つ、保険で行う治療に必要な薬を買うためのお金=「薬価」があり、これらの薬の価格も全国一律で決められる。
診療報酬は、国民が納める保険料、税金、患者の自己負担でなりたっていて、2年に一度、見直すことになっている。
厚労省は、来年度の診療報酬見直しにむけ、財務省などから診療報酬を引き下げるよう求められているが、仮に診療報酬全体を引き下げるとしても、薬の価格制度改革で薬を買うための代金を減らし、その分を医師らの「技術料」に回すことで、医療機関の収入は大きく下がらないようにする見込み。
健康保険組合側は、薬の価格引き下げ分を医療機関の収入維持に回すのではなく、負担増で苦しむ働く世代の保険料を抑えることに使ってほしいなどと訴えた。