能登半島ならではの課題 再建への壁「災害廃棄物」を海上輸送、資源活用へ【バンキシャ!】
(後呂)
災害廃棄物の処理をめぐっては、今回は能登半島ならではの課題もあるといいます。
(伊藤)
災害廃棄物の問題に詳しい、名古屋大学減災連携研究センター平山修久准教授によりますと、まずその「量の多さ」です。奥能登の各自治体で多くの災害廃棄物が出ていますが、特に多い珠洲市では28.2万トン。市が1年で処理する廃棄物の64年分にものぼるといいます。
能登半島には木造の古い日本家屋が多く、耐震性が低い建物が多く倒壊したためです。この数字は、地震による被害の試算で津波や土砂崩れの被害などは入っていません。そのため実際はもっと多くなる可能性が高いということです。
そして課題2つめが運搬の難しさです。能登半島では、赤い線で記されています “大動脈”といわれる国道249号がありますが、半島の外側を囲むように走っていて、交通が集中してしまいます。そのため(廃棄物を運ぶ)時間がかかってしまうということです。
そこで、平山准教授は2つの方法があると指摘しています。それが「海上輸送」と「資源活用」です。まず「海上輸送」ですが、東日本大震災や熊本地震の際にも行われましたが、今回はその時よりも陸上交通の事情が悪く、重要になってくるのではないかということです。
もう1つが「資源活用」です。災害廃棄物は仮置き場で分別されますが、その際にたとえば、1階が押しつぶされた家も残った2階部分の柱などを木材として再利用する、そして割れたアスファルトは新たな道路に再利用するなど、もともとは大切な財産である廃棄物を復興の資源として利用することが大切だといいます。
東日本大震災では、およそ7割の廃棄物が再利用されたといいます。その経験を生かすことで地域経済の復興にもつながるという考えです。
*1月28日放送『真相報道バンキシャ!』より