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両陛下、福島訪問 原発事故への思い

2018年6月11日 17:41
両陛下、福島訪問 原発事故への思い

天皇皇后両陛下が原発事故の「風評被害」を乗り越えようとする福島の魚市場を訪問された。

福島訪問中の天皇皇后両陛下は11日午前、相馬市内の慰霊碑を訪れ、雨の中、津波犠牲者に花を供えられた。皇后さまは10日夜に発熱し、11日朝は38度1分あったが、予定通り慰霊に臨まれた。

9日、福島に到着した両陛下がまず訪問されたのは、原発事故の避難者らが暮らす復興住宅。天皇陛下は居住者たちに「良い生活を築いていかれることを願っています」とエールを送られた。

そして、10日は原発事故後初めて「帰還困難区域」へ。福島第一原発に最も近い場所で約6キロ。両陛下は車内から原発の方向をじっとご覧になっていたという。

震災直後、福島からの避難者を見舞われた天皇陛下。当初から原発を見たいと望まれていたという。

震災当時の侍従長・川島裕さん「『ヘリコプターで(原発を)上から見られないのかしら』『無理じゃないですか』という(陛下との)やり取りは(震災後)2~3週間たってから」「被災者に心を寄せることの必然で、現場(福島第一原発)を見たいということで」

11日、両陛下が訪問されたのは、相馬市内の魚の卸売市場。「常磐もの」というブランド名で知られた福島の沿岸漁業は、原発事故で大きな打撃を受けた。現在、福島近海では、福島第一原発の半径10キロを除いて試験操業が認められている。しかし…。

市場で働く人「(漁の時間は)朝の8時半から10時半に限定。(水揚げ量は震災前の)10分の1くらい」

さらに、魚の放射性物質の調査で3年以上、国の基準値を下回っているにもかかわらず、いまだに風評被害に苦しんでいる。

相馬双葉漁協・立谷寛治組合長「本操業に向けてやっているわけですが、なかなか思うように前に進めないのが実態」

11日、市場で水揚げされた魚をご覧になった両陛下。魚自体は増えていると説明を聞き、「いい漁場が保たれているというわけですね」と話されていた。そして、相馬産のカレイとホッキ貝を購入されたという。

立谷組合長「検査の話をしたら、『安心安全のできる魚なんですね』と、本操業に向けて、両陛下のお話をいただいて励みになっています」

両陛下は退位前、最後とみられる福島訪問を終え、11日夜、帰京される。