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“降格”振りかざす「ロイヤルファミリー」 ビッグモーター・元副社長ら3人…現役社員が語る“恐怖政治”

2023年7月29日 7:58
“降格”振りかざす「ロイヤルファミリー」 ビッグモーター・元副社長ら3人…現役社員が語る“恐怖政治”

ビッグモーターの保険金不正請求問題をめぐり28日、国交省が全国24都道府県の34店舗に一斉立ち入り検査を行いました。こうした中、現役社員は、兼重宏一前副社長ら3人が「ロイヤルファミリー」と呼ばれ、理不尽な降格を繰り返していたということを明らかにしました。

■「ロイヤルファミリーって3人がいるんですけど…」現役社員が語った恐怖

ビッグモーター現役社員
「ここ2~3年くらいは降格ももう慣れていたんで、みんな。私たちもちょっとマヒしていたところがあって、『ああ、また降格か』『また異動か』みたいな感じ」

28日夜、「news zero」の取材に現役社員が語った降格の恐怖。降格によって、年収が数百万円下がることもあるといいます。

ビッグモーター現役社員
「本部の人たち“ロイヤルファミリー”って3人がいるんですけど、この3人がひどかったので、(休みの日も)“ロイヤルファミリー”の方々から、LINEがばんばん飛んでくるので、グループ招待とかもあるので。すぐに返答しないと、参加しないとその時点で“降格”とかもあるので」

■LINEの返事が遅いだけで「降格」振りかざし…

「ロイヤルファミリー」とは、兼重宏行・前社長の息子で、辞任した「兼重宏一・前副社長」と「A常務」、「B本部長」の3人のことを指すといいます。

――休みの日はだいたい(連絡が)何件来る?

ビッグモーター現役社員
「1日放置していたら…LINEって通知の数が出るじゃないですか。あれがマックスにいったら、それ以上増えなくなるんですよ。999だったかな、もうそのマックスは達します。すぐ」

1日放置で1000件以上。「ロイヤルファミリー」は、LINEの返事が遅いだけで「降格」のカードを振りかざしてきたといいます。

ビッグモーター現役社員
「この3人の体制になったのが、5~6年前くらい」
「結局、この3人が現場にとにかくひどいプレッシャーをかけて、異動・降格を繰り返し、気に入らない社員とか、意見する社員とか、数字をあげない店長とかは一発降格、一発県外異動、下手したらクビ」

■恐怖の“環境整備” 「生きた心地がしない」

この「ロイヤルファミリー」は、全国の店舗で「環境整備」と呼ばれる清掃や接客の点検を繰り返していたといいます。

ビッグモーター現役社員
「とにかく環境整備が恐怖でした。“ロイヤルファミリー”がまわってきたら絶対誰かが降格になり、誰かが県外に飛ばされ、誰かが退職するって形になる」
「“ロイヤルファミリー”3人が(環境整備に)来る時は、とてもじゃないけど生きた心地がしないくらい」

こうした理不尽な降格については、3日前、25日に開かれた会見でも追及されていました。

――息子の宏一さんを中心に降格人事が繰り返されていたと言われています。こうしたことが起こった原因をどう分析しているのか

兼重宏行・前社長(25日)
「創業当初から人事に関しましては、抜てき人事です」
「ちょっと行き過ぎがあったのかもわかりませんけれども、悪意を持ってやるというのは一切ありません。結構、(宏一前副社長は)理詰めの話をするので、それがプレッシャーになったのかなと。悪意を持ってやるというのは一切ないと思います」

「悪意はなかった」と繰り返し、息子の宏一前副社長が“自ら辞任を申し出た”と話していました。今回の問題を受け、ビッグモーターは経営体制を一新しています。

国交省は28日、全国24都道府県・34店舗に一斉に立ち入り検査を実施しました。

■除草剤…新社長は“過去の話” しかし元社員は…

ビッグモーターをめぐっては、店舗の前の街路樹が不自然に次々と枯れたり、伐採されたりしたという疑惑も浮上しています。

ビッグモーター 和泉伸二・新社長(25日)
「甘い認識で除草剤をまいてしまって、10年くらい前の話だと思うんですけど。現時点ではそういう指導はしておりません」

和泉新社長は、除草剤の使用は「過去」の話だとしていましたが、28日に新たな動きがありました。

さいたま市の店舗で、浦和美園店の店長が市の聞き取りに「月に1~2回下草に除草剤をまいた。木には直接かけていない」と話したというのです。

さらに別の元社員も「news zero」の取材に「おととし、上司から指示されて除草剤をまいた」と証言。除草剤の使用は今も続いていたとみられます。

ビッグモーターはこの日、ホームページ上で「当社で調査したところ、当社の複数店舗におきまして、過去に店舗で清掃活動の際に使用した除草剤等による影響により、街路樹や植え込みが枯れた可能性が高いことが判明いたしました」と説明し、謝罪しました。

■毎日“ビフォーアフター”を写真で報告

なぜ、除草剤をまいたのでしょうか。

ビッグモーター現役社員
「毎日LINEで“ビフォーアフター”って毎朝、環境整備をしている。例えば草が生えているのと、草を抜いたビフォーアフターの写真は、毎日報告しないといけなかった」
「“汚い”と判断されて降格になることもあるので、やっぱりみんな必死になりますよね、そこは」

ロイヤルファミリーによる、「恐怖政治」がこうした事態を生んだのではないかといいます。

事態を受け、全国の自治体などが調査を開始。福岡県の店舗ではこの日、専門業者が土を回収し、除草剤の成分が含まれていないかなどを調べるといいます。

NNNのまとめによると、この“街路樹問題”はこれまでに、少なくとも16都府県、46店舗の前の路上で確認されているということです。東京都では、8店舗ですでに異変が確認されていて、都は被害届を出すことも検討。厳しい対応をとることを明らかにしました。

小池都知事
「仮に、樹木を人為的に枯らす行為があったとすれば、言うまでもありません。言語道断でございます。許されるものではございません」

■損保ジャパン“損害賠償請求を行う準備”

損害保険ジャパンはこの日夜、ビッグモーターと代理店委託契約を終了し、損害賠償請求を行う準備に入ったと発表しました。その損保ジャパンについては、ビッグモーターの兼重宏一前副社長がかつて前身となる日本興亜損保に在籍していたことがわかっています。

また、金融庁は週明けにも損保ジャパンを含む損保7社に対して、保険業法に基づく「報告徴求命令」を出す方針を固めたということです。

    ◇

ビッグモーターに厳しい目が注がれる中、現場で働く社員は「よくなってくれることを願うばかりですね、私たちは。本当にまともになるのではないかって期待ですね」と話しました。

(7月28日放送『news zero』より)

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