関東など太平洋側で雪を降らせる「南岸低気圧」 雪の予測難しい理由とは?
冬の時期、日本海側で雪が続く一方で、関東など太平洋側の地域では冬晴れが続きやすくなります。しかし、そんな太平洋側の地域でも1シーズンに何日かは雪が降り、ときには東京都心部でも積雪となって大きな影響が出ることがあります。
■関東など太平洋側で雪を降らせる「南岸低気圧」
冬になると天気予報などで「西高東低の冬型の気圧配置」というフレーズをよく耳にします。西高東低の気圧配置では、大陸から吹く冷たい季節風が日本海の海上を渡る際に雪雲が作られ、その雪雲が陸地に流れ込むため日本海側の地域で雪の降ることが多くなります。
一方、太平洋側には山で雪を落とした後の乾燥した風が吹き込むため、空気が乾燥し、晴天が多くなります。
しかし、太平洋側の地域でも1シーズンに何日かは雪が降り、ときには東京都心など都市部でも積雪となって交通などに大きな影響が出ることがあります。その原因となるのが「南岸低気圧」。
南岸低気圧とは、日本列島の南岸を発達しながら東に進む低気圧のことで、東京など関東の南部平野部で雪が降るのは、専らこの南岸低気圧によるものです。南岸低気圧による雪の予想は様々な要素が複雑に絡み合うためかなり難しいとされ、気象庁のホームページでも「予測が難しい現象」の1つとして挙げられています。
■「1℃」の違いで状況大きく変わる雪予測
南岸低気圧では、低気圧の発達や通過するコースによって降水量や降水域、上空の気温などが変化し、それらに加えて地上付近の気温や湿度、風向きなど様々な要素が複雑に絡み合って「雨」か「雪」かが変わってきます。降るものが雨であれば災害が起きる心配は少ないですが、これが雪となると、首都圏では大規模な交通の乱れや転倒・スリップ事故の発生など、大きな影響が出てきます。地表の気温が1℃予想より低くなっただけで状況は大きく変わり、積雪の見込みが無かったところに結果として雪が積もり交通障害が発生するなど、非常にシビアな予測が要求されます。
2022年1月には、南岸低気圧によって関東で雪が降り、東京都心でも最大10センチの積雪を記録しました。首都圏では、この雪の影響でスリップ事故や歩行者の転倒によるけが人が相次いだほか、「東京ゲートブリッジ」では最大約100台の車が立ち往生するなど、各地で大きな影響が出ました。
例年、南岸低気圧は、冬型の気圧配置が緩んでくる2月頃から通過することが多くなります。特に東京など関東南部平野部では予測が難しく、見通しが大きく変わることもありますので、南岸低気圧接近時はこまめに天気予報を確認するようにしてください。