マフィンが“生臭い” 異変訴え相次ぐ 無添加アピールも… 「重篤な健康被害」の恐れで約3000個回収
添加物を使わず「子どもにも安心」とアピールし、都内のイベントで約3000個のマフィンが販売されました。ただ、食べた人が下痢やおう吐などの体調不良を訴えていて、15日に厚生労働省が回収の対象にしました。そのマフィンを買ったという女性を取材、食べようとしたときに起きた、ある異変とは。
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16日夜『news zero』が話を聞いたのは、今月12日に都内で行われたアートイベントで売られていたマフィンを購入し、食べたという女性です。
マフィンの購入者
「少し食べて、思ったより味が薄かった。生臭いにおいというか、三角コーナーとまではいかないけど、これ食べたら大丈夫かなくらいの感じ。それ以上食べないようにしようと思った」
“生臭いにおい”がしたというマフィン。東京・目黒区の焼き菓子店がイベントで11日と12日の2日間販売していたもので、約3000個が完売。しかしその後SNSには、購入者から“異変”を訴える投稿が。
マフィン購入者(SNSより)
「納豆のにおいがする」
「手が臭い人が作ったのかな」
「糸が引いてた…吐き出したけど腹痛と吐き気」
下痢やおう吐など体調不良を訴える声も上がり、16日に厚労省がマフィン9種類、約3000個の回収を呼びかける事態になりました。
『news zero』が話を聞いた女性の友人も、マフィンを食べたあと…
マフィンの購入者
「(マフィンを食べた友人について)症状が友人が出始めたようで、一切(夕食が)食べられなくなってしまった。だんだんしゃべれない状態になってきて、本当に大丈夫?って感じ。まさかっていう感じだったので。今後、食に関する販売を続けるなら、もうちょっと勉強してほしいという気持ち」
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16日午後、マフィン販売店を訪ねてみると、店の中には誰もいないようで、営業している気配はありませんでした。
店が売りにしていたのは、防腐剤や添加物を使わず、市販品と比べて砂糖を半分以下にして作ったという焼き菓子です。“子供も安心”とアピールしていました。
“添加物を使わない”商品のイメージについて、街の人に聞きました。
会社員(20代)
「パッケージに『無添加』って書かれてたら、安心して買おうかなって思う」
大学生
「無添加のものがあったらすぐ食べるようにはしている。くさっちゃうから…」
問題が明らかになり、店が自主回収を進めるとしていたマフィン。
厚労省が16日に公開したリコール情報によると「健康への危険度」は、最も上の「CLASS I」に分類。これは、フグなどの有毒魚や毒キノコ、ガラス片などが混入した食品などと同等で、重篤な健康被害または死亡の原因となりうる状況とされています。目黒区の保健所が今後、体調不良者が出た原因の検査をするということです。
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なぜこのような事態になったのか?
店のSNSによると、イベント用のマフィンは「1人で5日間かけて製造し続けていた」と説明。その保管方法について店のSNSには「クーラーをガンガンにかけて18℃以下を保っておりましたが、外気温が高かったため、何個か傷んでしまった可能性がございます」という投稿がありました。
食中毒に詳しい専門家は…
食品微生物センター 山口憲太代表
「添加物や砂糖を少なく使用しているということは、それだけ日持ちが悪くなる。日持ちしないということを意識して、賞味期限の設定をしなければいけない。焼き菓子は、過去それほど中毒というのはあまりない。衛生管理に対しての意識や知識が弱かったのかもしれない」
その上で、私たちが気をつけるべきことについては…
食品微生物センター 山口憲太代表
「糸を引いているとか色が違っているとか、臭いが少しおかしいとか、通常とは何か違うと感じたときに食べないようにしていただきたい」
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焼き菓子店は16日、『news zero』の取材に対し「今回はお客様にご迷惑をおかけし、本当に申し訳ありません。お客様への対応を優先し、返金していきます」とコメントしています。
(11月16日放送『news zero』より)