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秋に食中毒増加なぜ? 「ノロウイルス」 感染は主に「人」から… コロナ後は感染対策に緩みも 【#みんなのギモン】

2023年11月16日 21:57
秋に食中毒増加なぜ? 「ノロウイルス」 感染は主に「人」から… コロナ後は感染対策に緩みも 【#みんなのギモン】

16日のギモンは「なぜ秋に食中毒増加?」です。

食中毒は夏や梅雨の時期に気をつけているという人も多いと思いますが、寒くなったから安心だと油断してはいけません。

神奈川県横浜市にある焼き肉チェーン「牛角」で今月7日、食中毒が発生しました。市内の学校関係者49人のうち、21人におう吐や下痢などの症状がみられたということです。

横浜市保健所は15日、この店を営業禁止処分にしました。

一方、静岡県西伊豆町では、特別養護老人ホームで「O157」による集団食中毒が発生しました。県によると、今月3日に昼食を食べた入所者と職員33人が症状を訴え、このうち2人が死亡しました。県はこの施設の調理部門に対して、15日から営業禁止を命じています。

食中毒の原因についてですが、牛角の方はまだ詳しいことはわかっていませんが、21人中8人からノロウイルスが検出されました。

老人ホームの方は「O157」で、こちらは特に気温が高い時期に多く発生するものです。一方、ノロウイルスは気温が低い時期に多いです。

◇“寒いから”と油断は禁物
◇怖いのはカキよりヒト

■「湿度」と「温度」 低い方がウイルスの生存期間が長く

ノロウイルスが冬場にどれだけ増えるのかみてみます。

2019年の患者数(厚労省による)を月別でみますと1月、2月、3月と12月の冬場に爆発的に増えています。この3年はコロナへの対策によって比較的、患者数が減っていた少し特殊な時期でした。今年は感染対策もゆるむ傾向にあるだろうということで、より警戒が必要だと思っています。

では、どうして冬場に増えるのかみていきます。これはノロウイルスの特徴が要因です。このウイルスが好むものが「乾燥」と「低温」です。湿度・温度ともに低い方が、ウイルスの生存期間が長くなるそうです。

そしてもう1つ、特徴として「感染力が非常に強い」というのがあります。感染したら苦しんだという話もよく聞くと思います。家族の1人が感染すると、ほかの家族に広がってしまうこともよくあることです。つまり、ノロウイルスは冬こそ気をつけるべきウイルスといえます。

■ノロウイルスの潜伏期間は?

では、みなさんノロウイルスについてどれだけ知っているでしょうか。クイズを出します。(静岡県ホームページより)


1つめ、「ノロウイルスが付着した食べ物を食べると、おおむね2時間から3時間以内に発症する」、○か×か?

正解は「×」。一般的に潜伏期間は24時間から48時間といわれています。すぐにおなかが痛くなるかといえば、そうではないわけです。

次の問題です。「ノロウイルスに感染すると下痢やおう吐は必ず発症し、発熱やけん怠感が出る患者もいる」、○か×か?

これも正解は「×」。感染しても「必ず」発症するわけではありません。感染しているのに症状が出ない場合もあります。なので、そういう人から感染が広がってしまうおそれがあります。

次の問題です。「ノロウイルスは食品の中で増殖することはない」、○か×か?

正解は「○」。ノロウイルスは人の腸の細胞でだけ増殖し、食品の中で増えることはありません。

このように、身近に感じているようで知らないことはたくさんあります。

■感染の原因…約8割は「ヒト」

では、どこからどのようにして感染するのかも気になりますよね。ここからは2つめのポイント「怖いのはカキよりヒト」をみていきます。

どういうことか。ノロウイルスの原因となる食品として生ガキをイメージする人が多いと思います。日本食品衛生協会によると「加熱が不十分な二枚貝」が原因となるのは2割だといいます。

つまり、残りの8割が何かというと「人が触れたことでウイルスがついた食品」です。ウイルスのついた手で触った食品を食べてしまったということが感染の原因となっています。もともとウイルスを持っている貝以外のあらゆる食品についても気をつけなければいけないということになります。

感染しても発症しない場合もあります。潜伏期間も1日以上。気づかないうちに感染をさせている、あるいは自分が感染してしまっているかもしれないというわけです。

牛角で起きた食中毒も調理した人が原因なのか、客が原因なのかはわかりませんが、人が原因である可能性もあります。

■基本に返ってしっかり手洗いを

では、気をつけるべきことは何か。食中毒に詳しい食品微生物センターの山口憲太代表に聞きました。

基本的なことですが、調理する前、食べる前にとにかくしっかり手を洗ってほしいということです。コロナと違ってアルコール消毒はあまり効果がないそうです。だからこそ、手を洗ってウイルスをしっかり洗い流すことが大事になってくるそうです。

次に、新鮮だから大丈夫という考えはやめることも大事だといいます。焼くべきものは焼く、煮るべきものは煮る。菌がついている可能性がいろんなものにあるということだと思います。

厚労省は、食品の中心部を85℃から90℃で90秒火を通すことを推奨しています。また、焼き肉を食べる際はこれに加えて、焼くためのトングと食べるための箸を人によって使い分ける。これによって菌を食べてしまうことがなくなるため大事だといいます。

さらに、ノロウイルスに限らずこれからの季節注意してほしいことがあります。「涼しいから常温でも大丈夫」という考えはNGです。

ノロウイルス以外にも、食中毒になる菌は年間を通してたくさんあります。常温でおいておくと菌が繁殖するおそれがあります。こうしたことに注意しましょう。

   ◇

これから忘年会シーズン、クリスマス、お正月と楽しいイベントがたくさんあります。これは言い換えれば、たくさんの人で集まる機会が増えるということです。こうした時期に食中毒で苦しむのは本当に残念なことですから、ぜひ、石けんで手洗いをするという基本に立ち返って、みんなで元気に今年を乗り切りたいと思います。

(2023年11月16日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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