“処理水”24日にも海洋放出へ 漁業関係者ら不安拭えず 政府は「水産物」データ毎日公表へ
福島第一原発にたまる処理水は、早ければ24日から海に放出されます。漁業関係者らから不安の声があがるなか、政府は風評被害などへの対策として、水産物のデータを毎日公表すると発表しました。
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22日夜、東京電力が公開した写真に写っていたのは、バケツをのぞき込む職員です。バケツの中に入っているのは、海へ放出されることになる福島第一原発の処理水。行われていたのは、福島第一原発の処理水に含まれる放射性物質「トリチウム」の濃度が、計画通り薄まっているかの確認作業です。
23日夜にも分析結果が出るとみられ、濃度のデータに問題がなければ、東電は24日の早朝、処理水の海洋放出を開始するかどうかを最終判断する予定です。
早ければ24日に行われる海洋放出。岸田首相は22日、「政府が責任を持って取り組む」と強調し、決断しました。
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処理水の海洋放出の準備が着々と進められるなか、23日朝、福島県いわき市の漁港には水揚げされたばかりの海の幸が集められ、活気あるセリが行われていました。
福島の港は、変わらない朝を迎えていましたが、漁業関係者の心の内は――。
漁業関係者(福島・いわき市、23日朝)
「心はやっぱり…大変だなと。7~8年前の形に一時戻っちゃう。国の…決定でもあるし、いつまでも反対反対してもしょうがないから」
不安は拭いきれません。
漁業関係者(福島・いわき市、23日朝)
「明日以降どうなるかわからないけど、セリ自体は、今までの通り変わらないと思います」
海洋放出の取り消しを求め、国や東電を相手取り提訴する福島県民もいます。
反対派の出席者(福島・いわき市、23日午後)
「やっぱり心配だと思う人の方が多いと思います」
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政府は、これまで何度も説明を行ってきたとしています。
西村 経済産業相(23日午後)
「私自身はほぼ毎日昼、みそ汁を飲むんですけども、その時に福島・相馬産のあおさを入れて、毎日だいたい食べて飲んでおりまして」
西村経済産業相は、福島の食を毎日食べているとアピールし、海洋放出後の風評被害などの対策について説明しました。
西村 経済産業相
「毎日、水産物のデータを公表して参ります。24日から放出し、うまく整えば25日の夕方くらいにはデータを、それ以降ずっと発表していきたい」
トリチウムの濃度を迅速に検査し、水産庁のホームページで毎日、公表するということです。また、東京電力も、賠償や風評被害に取り組む専門チームをつくり、海洋放出に臨むとしています。