トランプ氏“性別は男と女だけ”ナゼ…「ジェンダー過激主義から女性を守る」大統領令 “多様性”見直し、企業もトランプ流に?
トランプ新大統領(78)は就任初日から、多様性を推進したバイデン政権の立場を否定する姿勢を明確にしています。就任演説で「性別は男性と女性の2つだけ」と発言。アメリカの企業で多様性を見直す動きが広がりますが、日本への影響はあるのでしょうか?
藤井貴彦キャスター
「就任演説でトランプ大統領は、『本日から性別は男性と女性の2つだけというのが、政府の公式方針となる』という発言もしました」
「これまでバイデン政権はLGBTQなど性的少数者の人たちの平等といった多様性を推進する立場でしたが、これを真っ向から否定する動きとなりそうです。背景に何があるのでしょうか?」
「この演説と並行する形で、トランプ大統領は『ジェンダー過激主義から女性を守る』というタイトルの大統領令を出しています。男女2つの性別だけ認める、性別は変更できない、ということなどがうたわれています」
「バイデン政権ではパスポートの性別欄に男性でも女性でもない性の認識を示す『X』を選べるようになりましたが、今回の大統領令ではこれを明確に否定。パスポートなどは、男女の性別だけにすることを求めています」
藤井キャスター
「これまでの流れからするとかなり踏み込んだ大統領令となりそうですが、いかにもトランプ流です。この方針を就任初日に打ち出した背景は何なのでしょうか?」
小栗委員長
「これはある程度予測できた流れではあります。就任に先立つ演説では『男性を女性のスポーツから締め出す』と、トランスジェンダーの女性の女子スポーツへの参加禁止を示唆していました」
「去年12月にも差別的な言い方でトランスジェンダーの人たちに敵意をむき出しにしていました」
小栗委員長
「さらに、去年の後半からはアメリカ国内のボーイング・ウォルマート・日産(米国部門)・マクドナルドといった有名企業で多様性を見直す動きが相次いでいます。一方で、コストコやアップルなどは多様性の取り組みを継続する方向です」
「アメリカ最大のLGBTQの権利擁護団体は声明で『我々は引き下がることも言いなりになることも拒否する。これらの有害な措置に全力で反撃する』と述べています」
藤井キャスター
「アメリカ国内ではどのように捉えられているのでしょうか?」
小栗委員長
「アメリカの社会や政治に詳しい同志社大学の三牧聖子准教授に聞きました」
「三牧准教授は『そもそもアメリカでは社会全体でどこまで多様性を重視してきたのか。大手企業も簡単に方針転換するということは、スローガンどまりだったのではないか。どれほど多様性について真剣に考えているかがあらわれる局面だ』と指摘しています」
藤井キャスター
「こういった動きは、日本でも広がることになるのでしょうか?」
小栗委員長
「今のところは、そういった動きは見られません。というのも、日本ではLGBTQの人たちの平等もそうですが、(国会議員や管理職における)女性の活躍も進んでいない状況です。男女間の格差を示すジェンダーギャップ指数は、G7で最下位(118位)のままです」
「経団連でダイバーシティ推進委員長を務める次原悦子さんに聞きました」
「次原さんは『日本の置かれている状況はアメリカとは別次元。先進国と同じレベルになるのはまだまだ先の話で、多様性の重要さは変わらない』と話します。日本では多様性(重視の動き)を撤回するような動きは出てきていないとしています」
(1月21日『news zero』より)