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【解説】新潟県中越地震から20年 “余震1000回以上”で避難生活長期化 いま見直したい「日頃の備え」とは

2024年10月21日 19:29
【解説】新潟県中越地震から20年 “余震1000回以上”で避難生活長期化 いま見直したい「日頃の備え」とは
震度7を記録した新潟県中越地震から20年。この地震では68人が犠牲となり、避難者はピーク時には10万人を超えました。背景にあるのが繰り返し起こる大規模な“余震”。この災害から学び、日頃用意すべきものは。社会部災害担当・藤吉有咲記者が解説します。【週刊地震ニュース

■関東で立て続けに震度3の地震

10月14日から20日までの期間、国内で震度1以上の地震は33回ありました。

▼10月14日午後7時45分、東京都などで震度3を観測する地震がありました。震源は東京湾で、地震の規模を示すマグニチュードは4.5、地震の深さは71キロでした。

▼10月16日午後5時53分には、茨城県などで震度3を観測する地震がありました。震源は茨城県南部で、マグニチュードは4.3、深さは47キロでした。

▼10月18日午後1時38分、青森県などで震度3を観測する地震がありました。震源は岩手県沖で、マグニチュードは5.4、深さは40キロでした。

■新潟県中越地震から20年 余震活動多発で被害拡大

23日で、新潟県中越地震から20年がたちます。

2004年10月23日午後6時前、新潟県中越地方を震源とする地震が発生しました。震源の深さは13km、地震の規模を示すマグニチュードは6.8で、現在の新潟県長岡市で震度7を記録しました。この地震は、浅いところの断層がずれて発生した、典型的な「直下型地震」です。

内陸部を震源とする直下型地震では、津波は起きにくい一方で、私たちが暮らす真下で地震が発生するため、建物の被害などが大きくなることが特徴です。この地震でも、大規模な地盤崩壊があったほか、道路が寸断されたことで多くの集落が孤立しました。

また、走行中の上越新幹線が脱線するという、衝撃的な事故もありました。営業運転中の新幹線が脱線したのは、これが初めての事例でした。

そしてこの地震の特徴は、規模の大きな“余震”が長期間にわたって発生したことです。

この新潟県中越地震では、最初に震度7を観測する地震が発生した後、震度1以上の地震が1000回以上発生しています。そして、地震後わずか1日の間に震度5弱以上の地震は13回も発生しました。

気象庁の会見で度々、「最初の地震から1週間程度は、同程度の規模の地震に注意するように」と呼びかけていますが、まさにそうした活動があったケースでした。

■1000回以上の余震…なぜ?

なぜこれだけ余震が多かったのか。環境防災総合政策研究機構の草野富ニ雄さんによりますと、「多くの地震の余震は本震が発生した断層面に沿って発生するが、新潟県中越地震では、本震とは別の2つの断層面で余震が相次いで発生したため、といわれている」ということです。

こうした余震は復旧作業を進めるうえでも大きな足かせになるうえ、地震がおこるたびに家屋はもろくなります。避難した人の数は、ピーク時には10万人を超えました。

■余震で増加した「災害関連死」

この地震では68人の方が亡くなりましたが、実は家屋の倒壊などの直接死よりも、「災害関連死」で亡くなった方が多くいました。つまり、避難生活が長引くなかでのストレスや持病の悪化、ショックなどによる被害が大きかったということです。

余震が多い中、車のなかで寝泊まりをして、いわゆる「エコノミークラス症候群」で亡くなる方も出ました。

厚生労働省によりますと、食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあり、場合によっては死亡に至るケースもあります。

この地域に限らず、大規模地震後の余震の多発、避難生活の長期化などは、日本全国どの地域でもおきる可能性があります。例えば、首都直下地震がおきた場合には首都圏に人口が多いため、被害も拡大し、避難生活での混乱も予想されます。

◾地震があった場合、何を持ち出せるようにすべき?◾

いざという時に持ち出せるよう準備するものとしては、例えば、
・水、食料
・救急セット、タオル、ウェットティッシュ
・携帯電話、ラジオ、充電器など
・最低限の着替え
などがあると便利です。

水がとまることもありますので、簡易トイレもあると良いでしょうし、小さいお子さんがいる場合は、ミルクや紙おむつ、ほ乳瓶なども忘れずに用意しておきましょう。詳しくは、日本赤十字社のホームページなどにも記載されています。

また、これから冬にかけて寒い地域で懸念されているのが、地震後の“低体温症”や“凍死”です。地震により電気の復旧に時間がかかる可能性もあるため、寒い地方に住んでいる方は特に、防寒具を用意しておくことが非常に重要です。

◾日常から備蓄「ローリングストック」とは◾

いま政府で行われている防災の会議でも、「ローリングストック」の重要性が度々指摘されています。これは、日常の中に食料備蓄を取り込むという考え方です。

特に大都市で地震が発生した場合、人数が多い分、食料の備蓄がなくなって道路の遮断や、交通渋滞で配送も滞る可能性が指摘されています。普段から少し多めに食材や加工品を買って、使ったら使った分だけ新しく買い足す。こうして常に一定量の食材を確保しておくことも大切です。

これまで地震を経験したことのない地域でも、「対岸の火事」とせず、日頃から地震への備えをすることが重要となります。

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