“ふるさとの企業で副業”成功のカギは?
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「首都圏で働きながら ふるさとで副業しませんか」。脇雅昭氏に聞いた。
首都圏で働く人たちに、「人手不足で悩む、ふるさとの企業での副業を」と、先月、都内で説明会が開かれ、福岡の5つの企業に対して、約80人が参加した。参加企業のひとつ、家具通販の「タンスのゲン」では、新しいコンセプトのオリジナル家具の開発、販売に向けてマーケティングやデザインなど、5つの分野で副業できる人を募集。テレワークも含み、月12時間程度の仕事を見込んでいる。20人程の応募があり、6~7人を採用予定だという。
一方、広島県福山市では今年度、副業限定で市長の補佐役となる戦略推進マネージャー5人を採用。東京や関西圏から週に1回程度、福山市で業務を行う。報酬は1回2万5000円で、別途交通費と宿泊費は支給される。
地方自治体も乗り出した副業による人材確保。ネット上では「会社は禁止だけど、ふるさとで副業したい」「テレワークなら、何とかなるか!?」「待遇面など不安、折り合えば良いけど」といった声が聞かれた。
――こうした広がり、どう思われますか?フリップをお願いします。
『風と土と』と書きました。これは風と土を合わせて「風土」と言われるものなんですが、地域が元気になっていくためには、風土が大事だと言われています。世の中の「風」と言われるのが、まさに今の話にあったような外から来られるような方――本業をやっていて、そのスキルを地元のために生かしたいという方。ただ、本当に実行させていく時には、地元の人たちのつながりが必要で、それが地元の人たちの役割で「土」。そういった形で耕していく。この2つが必要だと言われています。
今、外からどんどん中に入っていくことによって、人のつながりをつくっていこうとしていますけど、実はもう一方で大事なところは、外から来た人が中の人と出会うことで、その人たちの魅力を再発見できたりとか、外の人たちがこんなに頑張っているんだから、俺らも頑張ろうぜみたいな形ですね、地元の人たちが頑張っていく、そういう姿が大事なのかなと思っています。
そういう意味で、風のように来て、タネを運ぶんですけど、地元の人たちがそれを一緒になってやっていく、その両方が必要になってくると思います。その動きを促進するのが、この「副業をしませんか」というところじゃないかと思います。
――都市部のスペシャリストが地方に新たな風を吹き込んで、さらに地元の再発見につながると。一般的な副業とはひと味もふた味も違うような魅力がありそうですね。
そうですね。結局、地元にどれだけコミットできるかということなんだと思いますが、副業と言うことになると、仕事として関わっていくことができるので、より深く関われるんじゃないかと思います。
――そうですね。それが最終的には、地方の活性化につながったり、経済効果というのもまた表れてきそうですよね。
最近は、副業だけではなくて、まさにふるさとに旅費を出すから、里帰りの時に何かスキルを出してもらうとか、ライトな形での関わり方というのも増えてきているので、そういう多様な選択肢があることで、人と人のつながりがもっと生まれやすくなるんじゃないかなと思います。
■脇雅昭氏(36)プロフィル
総務省から神奈川県庁に出向し、インバウンド政策などを担当。また、全国47都道府県の地方公務員と中央官僚をつなぐ「よんなな会」を主宰。「公に携わるってカッコいい」社会を目指している。
【the SOCIAL opinionsより】