幸せな社員は、創造性3倍、生産性1.3倍
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「働く喜び、実感できていますか」。慶応義塾大学大学院教授の前野隆司氏に話を聞いた。
日本能率協会が中間管理職などに対し「働き方改革」に関する
アンケートを行った。
自分の会社での働き方改革で進んでいる点を聞いたところ、
「有給休暇の取得奨励」
「自身の有給休暇のとりやすさ」
「職場のコミュニケーション促進」
が上位に並んだ。
一方、「進んでいないこと」として上位にあがったのは、
「会議・打ち合わせの時間短縮」
「福利厚生の充実化」
「研究・開発などへの積極的なリソースの投入」
だった。
今後の課題については
「働く喜びの実感」
「部下のモチベーション向上」
「部下への公正な評価」
という調査結果が出ている。
ネット上では
「働く喜びって何だっけ…」
「カネだけが喜び」
「働いて喜びを感じる、その日は必ず来る」
などの意見があった。
――前野さん、こうした調査結果についてどう思いますか?フリップをお願いいたします。
幸福学の研究によると
「幸せな社員は、創造性が3倍、生産性が1.3倍」
ということがわかっています。
ですのでさっきありましたとおり、働く喜びとかを感じていると実は、働き方改革になるんです。無理やり時間を短縮しなきゃとか、会議を短くしなきゃとかいうよりも、むしろ私は会議は長いほうがいいと思います。
――なぜでしょう。
無駄な会議は短くした方がいいです。しかし、本当にやりたいことは何なのか、会社の理念は何なのか、人間関係をより良くするとか、そういう幸福度を高める会議にたっぷり時間をかけてすることこそ「幸せな社員は、創造性が3倍、生産性が1.3倍」が成り立っていくと思います。
生産性が1.3倍になれば10時間の仕事が7時間で済むわけですから、自然と働き方改革になります。
――でも、会議が長くていいというのは、そもそも幸せに働ける土台があるから成り立つというものですよね。
もちろんそうです。会議が長ければいいというのではなくて、無駄な会議は減らした方がいいのですが、会議の中でいかに本質的なことを話し合うかということを考えていくと、いいんじゃないかということですね。
――社員のみなさんが幸せを実感できるためには、どのような対策が考えられるのですか。
まずは、やりがいと人間関係です。やはり、“やらされ感”とか“やりたくない仕事”というのはよくないので、みんなでよく考えて自分の仕事のやりがいとは何なのだろうと、場合によっては配置転換もあります。
あとは権限委譲ですね。トップだけが権限を持っているのではなくて、みんながやりがいのある仕事をするようにするとか、色々やることはあります。
――働き方改革というよりも、社内の構造改革というか…
改革というのは、構造もマインドも全部変えないと改革にならないですよね。いまの働き方改革は、働き方改善とか働き方改悪になっている面があるので、やはり本当に構造も含めて改革するということをやってほしいなと思います。
――気持ちの問題というのも感じられますね
そうです。気持ちと一緒に改革しないと働き方改革にならないと思いますね。
【the SOCIAL opinionsより】