“日本語で不採用”外国人労働者の課題多く
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「外国人労働者 受け入れ拡大」。留学支援サービスを運営する鈴木陽平氏に聞いた。
今の国会の焦点となっている外国人労働者の受け入れ拡大のための「出入国管理法改正案」が27日の衆議院本会議で採決され、与党などの賛成多数で可決された。政府は来年度から5年で、最大約34万5000人の外国人労働者を上限に受け入れる方針。法案はこの後、参議院でも審議がされ、政府・与党は12月10日の会期末までに成立させたい考えだ。
ネット上では「使い勝手の良くて、人件費が安い人材を欲しいだけ」「長い目で見れば国益につながる」「技能実習生で日本に来た。独裁国には帰りたくない」という声が聞かれた。
――留学支援サービスを運営する鈴木さんは、こうした動きをどう見ていますか。
『3つのニーズを全員で!』と書きました。今回、外国人の労働者を受け入れるということで、受け入れる側の企業、コミュニティー、雇用される外国人の3つのニーズがそれぞれあると思うんですが、これらをバランスよく満たしていくことが重要なんじゃないかと思います。
私たちの会社は、外国人留学生向けにオンラインのサービスをやっているので、今回3つあるうちの「外国人のニーズ」という点でいえば、まだまだ課題がたくさんあって、中でも大きなポイントが2つあると思います。
1つは採用基準です。例えば、日本に留学して大学を卒業して、とても優秀だけど日本語の能力がそんなに高くない場合、評価を得られず、採用に至らないケースも多いようです。実際に入社して日本語をそんなに使わないというケースもたくさんあると思うんですが、日本語の能力などに目が行きがちなのかなと感じていて、ここは課題だと思います。
もうひとつは、実際に入った後です。日本で豊かな生活を送りたいと楽しみにして、日本の企業に就職したものの、実際に入ってみると、「同調圧力」や「空気を読む」という文化になじめなくて、自分の活躍の場を見失っている方が非常に多いなと感じています。いろいろな考え方を持った人たちが心地よく働ける場というのが、今後どういう風につくられていくのかというのがすごく気になっているポイントです。
――ただ受け皿を用意すればいいというわけではなさそうですね。
そうですね。ただただ数字だけを語ると言うよりは、どういった人に入ってもらって、どういった人に活躍してほしいのか、どうしたら活躍する場を提供できるのか、というところをしっかり考えていってほしいなと思います。
■鈴木陽平氏(28)プロフィル
留学支援サービスを運営。中学の同級生が県内の高校に進学する中で、岐阜県から海外へ。高校、大学はオーストラリア、イギリス、香港、中国で留学、その経験から、地方では海外とつながる情報が少ないことを痛感し、オンラインを使った留学支援サービスの会社を立ち上げた。
【the SOCIAL opinionsより】