南海トラフ巨大地震 事前避難1週間も
今後30年以内に70%~80%の確率でおきる「南海トラフ巨大地震」について、国の検討会は、発生の可能性が高まっていると判断した際にあらかじめ避難を呼びかける、新しい方針をまとめた。
◆南海トラフ巨大地震とは?
南海トラフ巨大地震とは、静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘沖にわたる広いエリアでおきるとされる、マグニチュード9クラスの超巨大地震のこと。
発生した時のシミュレーションCGを見ると、名古屋や大阪、さらに東京など3大都市でも激しい揺れとなり、その直後に太平洋沿岸には最大30メートル以上の巨大な津波が押し寄せる。最悪の場合、死者は東日本大震災を超える約32万人が想定されている。
ただ、国は、対策をとれば死者数を5分の1程度まで減らすことができるとしていて、いかに事前の備えをするかが重要となっている。
◆国が考える対策とは?
今回、国の検討会は、住民にどう呼びかけるのか、いくつかのパターンにわけてまとめた。
(1)半分で地震
まずは南海トラフ震源域の半分、例えば静岡や愛知など東側だけでマグニチュード8以上の巨大地震がおきた場合。西側では、まだ地震がおきていないが、東側の地震に連動して、その後、新たに大きな地震がおきる可能性がある。
そこで、国は、新たな地震がおきる前の段階で、数分で大津波が来る危険地域の住民や、避難に時間がかかる高齢者や要介護者は、地震がおきていない段階でも、1週間程度避難するように呼びかけるという。地震の危険性が高まっているので、取りあえず1週間程度避難して、命を守ろうという考えだ。
(2)一部で地震
一方、南海トラフ震源域の中のどこかでマグニチュード7クラスの地震がおきた場合。地震の被害がないほかの地域では、基本的に避難を呼びかけることはしない。
ただ、高齢者や要介護者は必要に応じて自主的に避難をすることも勧めている。また、一般の住民に対しても、普段より地震がおきやすくなっているとして、水や食料などの備蓄品を再度確認したり、家具を固定できているか確認したりするなど、日頃よりも警戒レベルを上げることを求めている。
こうした備えは、地震がおきていなくても、震源域の地下でわずかな異常が観測された時にも求めるとしている。
◆来年3月までに自治体向けガイドライン作成
国は、来年3月までに自治体向けのガイドラインを作成することにしていて、これを受けて自治体は、具体的な防災計画づくりを行うことにしている。