“国の天然記念物”「生きた化石」が民家に
大分県にある民家の毛布の中で、国の天然記念物に指定されているある動物が見つかった。「生きた化石」とも呼ばれるこの動物。いったいなぜ民家に姿を現したのか。
◇
大分県日田市に住む、永瀬豊子さん(83)が、去年の大みそかの夜、自宅で“ある動物”を見つけた。
永瀬豊子さん「この辺に布団が山積みにしてあった。子どもがこうして引っ張ったら、コロコロって転がってきた」
発見直後にとられた動画では、丸まっていてわかりづらいが、実は、冬眠中の「ニホンヤマネ」という動物だ。
「ニホンヤマネ」は、ネズミ目に属する体長およそ8センチ、体重18グラムほどの小さな哺乳類。本州・四国・九州だけにすむ日本固有種で、数百万年前から生息していることから“生きた化石”とも呼ばれている。
(「ニホンヤマネ」を飼育する)盛岡市動物公園飼育員・村山淳さん「(野生のニホンヤマネは)野外で見る機会はほとんどない。小さいのと夜行性なのが相まって、まず見る機会はない動物。天然記念物にもなっているので、希少性があると思う」
貴重なことから、国の天然記念物にも指定されている「ニホンヤマネ」。豊子さんも見たことがなかったため、発見当時は何の動物かわからなかったが、息子がスマートフォンで調べ判明したという。
「ニホンヤマネ」は通常、土の中などで冬眠するが、なぜ今回、民家の毛布から発見されたのだろうか?
(「ニホンヤマネ」を飼育する)盛岡市動物公園飼育員・村山淳さん「今の時期は冬眠しますから、たまたま(森に冬眠できる)環境がなくて、もぐり込んだのでは」
永瀬さんの自宅は、森の中にぽつんとたたずむ一軒家。「ニホンヤマネ」はこの森にすんでいたとみられ、何らかの拍子に永瀬さん宅に入り込み、フカフカの毛布を見つけ冬眠したとみられる。また、その毛布からは数粒のドングリも発見されたという。
発見後も冬眠から冷めない「ニホンヤマネ」。心優しい豊子さんは、ティッシュを詰めたプラスチックケースに入れ、目覚めたら森に帰す予定だった。
永瀬豊子さん「(Q.いついなくなった?)それがわからんとです」
冬眠中のヤマネを入れたプラスチックケースは自宅の一室に置いていた。部屋が暖かく春が来たと勘違いしたのか、ヤマネは目覚め、数日前に開けていた空気穴から逃げ出してしまったという。
永瀬豊子さん「自然に帰ったんだからいいんじゃなかろうか。福の神が飛び込んだから、今年はいいよって」
新たな寝床を求め森に戻った「ニホンヤマネ」。豊子さんは、また来てほしいと話していた。
大分の冬の珍事だった。