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“日本で唯一”女性の「村下」…玉鋼つくる職人「刀剣業界に女性増やしたい」 “心ない批判”バネに前へ…

2024年3月8日 19:46
“日本で唯一”女性の「村下」…玉鋼つくる職人「刀剣業界に女性増やしたい」 “心ない批判”バネに前へ…
きょう3月8日は「国際女性デー」です。みなさんは「村下(むらげ)」という仕事を、ご存じでしょうか。日本で唯一だという女性の村下、平田のどかさんに“苦悩”や“今後”について聞きました。

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3人の子どもたちを育てる、25歳の平田のどかさん。そんな彼女の職業は、日本刀や包丁などの刃物の原料である「玉鋼(たまはがね)」をつくる「村下(むらげ)」という職人です。

村下がつくる玉鋼は、日本古来の製鉄法「たたら製鉄」で製造できる純度の高い鋼。玉鋼でつくった刃物は強靱(きょうじん)で、さびにくくなるといいます。

かつては、「女人禁制」とされてきた時代もあった鍛治場でしたが、製鉄の技術を学んだのどかさんは、日本でただ“1人”だという女性の「村下」です。

そんな「村下」の仕事とは、玉鋼の原料となる砂鉄と木炭を交互に炉に入れ、熱していきます。炉の中の温度は約1100度。炉の様子を確認し、鉄と不純物を分離させ、質の高い玉鋼に仕上げていきます。

一度始めたら、作業は約12時間に及びます。

“日本で唯一”女性の村下 平田のどかさん(25)
「いつもより良いものが、とれたんじゃないか」

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のどかさんが「村下」になったきっかけ。それは、刀鍛冶である夫・祐平(すけひら)さん(36)との出会いでした。

平田のどかさん
「夫が製鉄も刀作りの方も両方やっていて大変そうと思い、現場の方も手伝えたらなって」

幼い頃から、職人の仕事に興味を持っていたのどかさん。いまから約9年前、刀鍛冶の修業をしていた祐平さんと出会い、その後、結婚。東京・青梅市で鍛冶屋を開きました。のどかさんが「玉鋼」をつくり、それを夫が刃物に仕上げる。しかし、玉鋼作りは半日がかり。

作業を始めたら常に炉につきっきりのため、家族で助け合いながら仕事をしています。

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夫婦でつくる刃物は評判となり、丈夫で切れ味のいい包丁は、1年半待ちになるほど人気となりました。しかし、注目されることが増える一方で、女性の「村下」ののどかさんには、SNSなどで「女のクセに鍛治場に入りやがって」「女なのに日本刀作りに携わるな」といった誹謗(ひぼう)中傷も。

平田のどかさん
「たたら場には女性は立ち入らせない『女人禁制』っていわれるものが強く広がって」

女性というだけで受けた心ないコメントで傷つきました。それでもめげず、SNSにこんな投稿をしたのです。

「私は女性であるという生まれ持った性別以外の部分で日本刀の伝統や慣習を破るような行為をした事はありません」
「女性という理由だけでこの職に就くのが悪のような言い方はやめて頂きたいです」

批判も覚悟で投稿したといいますが、SNSではおよそ2万件の「いいね!」がつきました。

平田のどかさん
「『頑張って』と応援のプラスの言葉がすごく多くて、ありがたいなという気持ちがありました」

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いま、のどかさんが力を入れているのは「村下」として伝統や技術を伝えていくこと。去年からは弟子をとるようになりました。カナダ人のバベットさん(23)です。

のどかさんの技術を学び、カナダで鍛冶屋を開くことを目指しています。

平田のどかさん
「もっと女性が活躍をすれば『女人禁制』と言われていた時代がくつがえるんじゃないか。この(刀剣)業界に、女性をもっと増やすのが今の目標ですね」