鉄道会社を退職し病院に笑顔届ける道化師に
サーカスなどで知られるクラウン、いわゆる道化師たちが入院生活を送る子どもたちの元を訪れ、たくさんの笑顔を届けている。「ホスピタル・クラウン」と呼ばれる活動を取材した。
彼らが訪れたのは小児病棟。入院生活を送る子どもたちと触れあう活動、ホスピタル・クラウンだ。
クラウン「こんにちは。ねえ、ねえ、ごめん、ごめん」
クラウンの訪問にはじめは緊張気味だった男の子。
クラウン「ここ見てて。おおビックリした!」
男の子「エヘヘへへ。」
徐々に心を開いていく。
クラウンは風船でプードルを作った後、今度は星形のスポンジを2つ渡す。
クラウン「ギュっと握って、振って!ここにゆっくり開いて」
男の子「エヘヘへへへ」
2個だった星形のスポンジが増えて出てきたことで、自然と笑顔が生まれた。わずか5分ほどの訪問だったが、病室の雰囲気は和らぐ。
別の女の子は…
女の子「普段は注射したり、点滴とったりで、さっきはおなかの写真を撮ったところ。クラウンは面白くて、えっと、ジジイ」
クラウンの訪問がささやかな楽しみだ。
クラウン「いま何歳?」
女の子「7歳」
クラウン「7歳ってことは中学生?」
女の子「違う!」
クラウン「高校生?」
女の子「違う!」
クラウン「大学生?」
女の子「違う!アハハ!」
クラウン「おとな?」
女の子「違う(笑)」
クラウン「クソガキ?ああ、クソガキ当たった!」
女の子「違う!アンタがクソガキ(笑)」
クラウン「違うよ!僕はおっさんです」
病院ではあまり出してはいけない大声も、この日だけは特別に許される。
2006年から活動が始まった日本ホスピタル・クラウン協会。代表の大棟耕介さんは元々、鉄道会社で働いていた。
大棟さん「子どもの時から自分がつまらない人間だというコンプレックスがあって、社会人になってく過程の中で明るい人間になりたい、楽しい人間になりたいという気持ちがあって」
28歳で鉄道会社を退職し、プロのクラウンとして生きることを決意した。クラウンの世界大会で準優勝に輝くなど成功をおさめる。そんなある日、初めてクラウンとして、アメリカの病院を訪ねた時のこと。
大棟「まあ、何もできなかったですね、僕は病室にすら入れなかったです。ジャグリングは病院でできないよって言われたり、風船はラテックスアレルギーがあるから使えませんよって言われたり。クラウンとしての自分のイメージで、できることが何ひとつなかったんですね。そこで初めてクラウンらしいクラウンを知ることができた。相手を主役にしていくってことを、改めて病院で気づかせてもらえた」
現在、110人のクラウンたちが全国94の病院を定期的に訪問していて活動は着実に広がっている。
大棟さん「とてもとても必要な第三者だと僕は思っていて、病院において。本来僕らはそこに居るはずではない存在。でもそれが行くことによって何か化学反応が起きる」
【the SOCIAL viewより】