保育士の負担、減らすためには?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「保育士の負担を減らすには」。東京・中央区にある保育園「まちのてらこや」を運営する高原友美さんに聞いた。
東京都が保育士に行った調査の中間まとめによると、「負担に感じること」で一番多かったのは「行事」で62.8%。次いで「保育計画書の作成」「保護者対応」「職員間の情報共有・打ち合わせ」「保育教材の準備」となっている。また、職場への改善希望としては、「給与・賞与等の改善」が多く、「職員数の増員」「事務・雑務の軽減」「未消化休暇の改善」「勤務シフトの改善」という結果だった。
――フリップをお願いします。
『まちのみんなが先生で、まち全体が保育園、地域で子育て・保育を見守ろう!!!』と書きました。人が足りないという問題もありますが、どうしても保育園の仕事というのは、保育園という施設にだけとどまってしまって、周りとの交流がなかなかできない場所でもあります。そんな中で、地域全体でこどもたちが育つ保育に関わってもらうことで、保育士さんの気持ちのサポートにもなってもらえたらいいなと思っています。
――どのようなことをやっているのでしょう。
私の保育園では、地域の方に保育園に来ていただいたり、子どもたちが地域の方のところへ出向いたりしています。例えば、老舗の扇子屋さんに、親子の絵付けワークショップをしたり、日本橋という地域柄、盆踊りマスターに来ていただいて、子どもたちと一緒に練習しようなどの取り組みをしています。
――そうなると、お父さんなど男性も関わる機会も増えてきそうですよね。
はい。さらに、連絡帳もスマートフォンを利用しますので、お父さんもかなり詳しく保育園の様子を見てもらうことが可能です。
――今、スタジオにスマートフォンの連絡帳の画面が出ていますね。どういう仕組みなんでしょう。
画面に出ているのは保育園の管理画面になりますが、お父さんやお母さんから毎朝連絡帳を送信してもらって、出席や欠席、何時に迎えに来るのか、子どもたちの健康状態などを管理することができます。手書きの連絡帳を一冊一冊管理するよりも、保育士さんはかなり楽になります。
お父さん、お母さんが働いている時間に、子どもたちの写真を配信しているので、毎日、子どもたちの様子をタイムリーに見てもらうことが可能です。また、急な仕事で、お迎えの時間が遅くなったりすることもあると思いますが、そういう場合もスマートフォンの連絡帳で変更してもらえれば、電話などがなくても大丈夫です。
――進化したICTと街ぐるみ、アナログとデジタルの両方ですね。
そういったITのものを使いながら、子どもたちをサポートしつつ、地域の人にもたくさん関わってもらいながら、保育の質をもっと上げていきたいなと思います。
■高原友美さんプロフィル
東京・中央区で認可外保育施設の保育園「まちのてらこや」を運営。目指すのは、子どもだけでなく、働く母親・父親に寄り添う施設。保育園では外遊びなどで汚れた服を園がすべて洗濯。オムツは園で準備され持ち帰りも不要。忙しい保護者の方も手ぶらで通うことができる。また、地域交流のプログラムとして、まちの人に園にあそびに来たりしてもらっている。「まちのてらこや」を起点に、子育て世帯と地域をつなぎ、まち全体で子育てする仕組みをつくっている。
【the SOCIAL opinionsより】