“撮り鉄”と共存できる関係を…鉄道会社や自治体で様々な取り組み 「専用撮影スポット」の無料開放も
“撮り鉄”と呼ばれる、鉄道の撮影を楽しむファンについて、一部の人の迷惑行為が問題となっています。鉄道会社や自治体は、こうしたファンたちともお互いに幸せな関係を築こうと模索中で、各地で共存への取り組みが行われています。
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兵庫・JR姫路駅で4日午後7時半ごろ、鉄道ファンがホームいっぱいに広がり、カメラを構えていました。
駅員
「下がってくださいよー。線路に落ちますよ!」
「下がってー!」
4日、兵庫県JR姫路駅に到着した臨時列車を撮影しようと、“撮り鉄”の間で場所取り合戦が勃発(ぼっぱつ)していました。
駅員
「下がって、下がって、下がって-!」
「危ないよー!」
JR西日本は「ルールやマナーを守って撮影してほしい」と呼びかけています。
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7日、福島・会津若松市にある踏切には、何人もの“撮り鉄”の姿がありました。お目当ては、昭和時代の機関車と客車です。豪雨の影響で一部不通だったJR只見線が、11年ぶりの全線再開に向け、訓練走行していました。その車両が“超レア”だということで、“撮り鉄”が集まっていました。
中には田んぼの真ん中や、あぜ道に入って写真を撮っている人もいました。“撮り鉄”の男性は「田んぼの(持ち主の)お父さんとトラブルになっている人、結構多くて…」と話します。
撮り鉄同士で、撮影ルールを巡ってこんなトラブルもありました。
“撮り鉄”の男性
「踏切近いから、ここ(の道を)開けてください」
車に乗っている“撮り鉄”
「なんか言われたの?」
“撮り鉄”の男性
「なんか言われるって…車すれ違うのに大変だからさ。“(撮り)鉄”だったらわかりそうなもんだよ」
踏切近くに停車すると通行の妨げになるとして、注意を受けていました。
車に注意した“撮り鉄”の男性
「『ちゃんとマナー守らないとダメなんだよ』って言ってあげたんだよ」
このような試験運転の情報は公になっていないものもありますが、ある鉄道会社は「試運転情報もどこで聞きつけてくるのかわからないし、対応に困ります」と話していました。
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島根・津和野町では去年8月、“撮り鉄”が道いっぱいに広がるなど、マナー違反に頭を抱えていました。緑の中を昭和時代のレアな赤い機関車が走るため、全国から“撮り鉄”が集まる有名なスポットです。
7日、その場所へ行ってみると、「農道付近での三脚使用・車の駐車を禁止します」と書かれた看板が立っていました。“撮り鉄”が私有地や畑などに侵入。撮影のため勝手に木を伐採されるなどして、住民は頭を抱えていました。
住民
「信じがたい行為が日常茶飯事になってしまって、みんな困っていることなので…」
そこで津和野町は今年、“撮り鉄”用に専用の撮影スポットを作り、無料で開放しています。
津和野町役場商工観光課 堀重樹課長
「どういうふうにしたら、気持ち良くお互いに共存できるのか。マナーをしっかり持っていただいて、こちらに来ていただけたら大変うれしく思います」
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JR東日本では先月から、新たな“撮り鉄”イベントを開始しました。
JR東日本スタートアップ 山本裕典さん
「皆さんマナーよく撮れるためにはどうすればいいか、(イベントで)“撮り鉄”の意見をしっかり吸い上げたりとか」
JR東日本は、普段は入れない車両基地「ぐんま車両センター」で、機関車を撮影できる少人数制のイベントを開催しました。一部のファンによるマナー違反を防ぐための環境作りなどについて、“撮り鉄”とJR社員が意見交換をしていくということです。
共存への第一歩が、各地で始まっています。