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特産品“大アサリ”がピンチ 不漁続きで…

2019年6月25日 19:46

伊勢湾や三河湾の特産品、大アサリがピンチとなっている。不漁が続き、年々価格が上がっているが、特に今年は例年にない不漁で、漁にさえ出られない状態になっているという。関係者からは悲鳴が上がっている。

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東京・渋谷にある貝料理の専門店。磯の香り漂うのは、今が旬の“大アサリ”。このひと皿を求めて来店する客も多いという。

焼貝あこや・延田然圭店主「正式名称はウチムラサキ貝という貝ですね」

実はこの“大アサリ”、正式にはウチムラサキという貝で、伊勢湾や三河湾沿岸の特産品。産地では“大アサリ”として知られている。

ウチムラサキという名前の通り、貝の内側が紫色をしており、大きさは普通のアサリの3倍ほど。形や味が似ているため“大アサリ”と呼ばれているという。

しかし今、大アサリの仕入れ値が上がっているという。

焼貝あこや・延田然圭店主「年々(仕入れ値が)上がっているのですけど、今年は大アサリものすごく高くて、倍までは言わないですけど、倍近く(上がった)。お客さんに喜んでもらうために値段は1年2年据え置きにしているので、そこはやっぱつらいですね」

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産地の一つ、三河湾に面した愛知県・渥美半島の小中山漁港。

漁師「普段は大アサリを採っているのですけど、今日は休みなのでアサリに」

漁師「潜り(大アサリ漁)は休み。アサリは出るよ」

大アサリ漁は休みだった。

一般に、大アサリ漁は漁師が海に潜り、ホースを使って砂を取り除きながら貝を採っていく。

しかし、例年にない不漁のため、漁港では、漁師たちが漁を休む日を設けているという。

漁師「今(大アサリの)漁獲量が減っちゃって、大アサリ自体がないので、あまり連続では出ない」

小中山漁業協同組合・小川隆光さん「毎年どんどん減ってきたのですけど、今年は特になくて」

10年前は、1日およそ10トンの漁獲量があった小中山漁協。しかし、年々減ってきており、去年は1日およそ3~5トン。さらに今年は10年前の10分の1、およそ1トンまで減ってしまっているという。

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渥美半島の先端、伊良湖町で、60年前から大アサリを焼いて客に提供してきた店も悲鳴をあげていた。

灯台茶屋・高橋衣智子さん「(Q.今までこんな不漁はあった?)今まで全然ないです。大アサリは安くておいしいものというイメージで長年きたもんですから」

年々採れる量が減ってきた影響で、仕入価格も値上がり。もともとは大アサリ3個入りで500円だったのを、2年ほど前にサイズを少し大きいものにし、価格は1000円に変更したという。

しかし、今年はさらに驚くほど採れないそうだ。

灯台茶屋・高橋衣智子さん「本当にこんなに切羽詰まってくるのは想像していなかったので、これ以上(仕入れ値が)上がらないことを願っていますけど」

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不漁が続く大アサリ。採れない原因は、専門家も分からないという。