浸水被害を想定…電車や乗員どう避難? 東武鉄道の駅で“訓練” きっかけは4年前の豪雨
大雨による被害が予想された時、電車や乗員は事前にどのように避難するべきか…東武鉄道の駅では、浸水被害を想定した訓練が行われました。JR東日本でも、気象庁などの雨量レーダーを活用するなど、6月から新たな大雨対策を開始しています。
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日曜日の最終電車も終わった3日未明、多くの人が寝静まった頃、埼玉県久喜市にある東武鉄道の南栗橋駅では、駅員らが山積みの段ボールを運ぶ姿がありました。
向かった先は、もう電車はやって来ないはずのホームです。そこへ、東京と日光を結ぶ特急スペーシアが到着。すると、駅員らは次々に段ボールを車内へ運び入れます。そして、特急スペーシアは栃木駅へと出発していきました。一体、何が行われているのでしょうか。
東武鉄道 運輸部 入江一仁運転課長
「車両や従業員の避難をスムーズに行えるように、日頃から訓練」
大雨被害から車両を守る避難訓練です。南栗橋を出発した特急スペーシアは、栃木駅に到着しました。なぜ栃木駅に移動させたのか…きっかけは4年前の出来事でした。
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2019年10月、東日本を中心に各地に豪雨被害をもたらした台風19号。北陸新幹線の車両基地が被害をうけ、100両以上の車両が浸水し、廃棄処分となったのです。
今回、訓練が実施された南栗橋駅の近くには車両基地があり、そばを流れる利根川が氾濫すると、車両基地は最悪の場合、3メートルから5メートルの深さまで浸水すると想定されているのです。
今回の訓練で車両を避難させた栃木駅は、高架になっている駅のため、浸水から車両を守ることができるといいます。さらに、普段は車両基地で行う出発前の点呼台を車両内に設置。車両基地が浸水したままだとしても、早期に運転再開できるようにしているといいます。
東武鉄道 運輸部 入江一仁運転課長
「車両避難は計画運休が前提と考えています。万全を期して対応できるように」
また、JR東日本では6月から新たな大雨対策を開始しました。これまでは駅などに設置した雨量計をもとに徐行運転などの判断をしてきたといいますが、新たな対策では、気象庁などの雨量レーダーも活用。よりきめ細かく雨の状況を把握することで、近年増えている局地的大雨にも対応し、迅速な判断につなげたいとしています。