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秘境“霧幻峡”に外国人が続々…なぜ人気?

2019年7月26日 19:22

日本を訪れる外国人観光客は年々増えているが、今、都会から遠く離れた場所にも、観光客が押し寄せているという。多くの外国人を魅了する、“ニッポンの秘境”。そこで見られた驚きの絶景とは。

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新緑が色鮮やかな峡谷をはっきりと映し出す透きとおった川の水面。そこには真っ白な霧がたちこめ、はるか天空にいるかのような感覚に陥る。そんな白く化粧された水面をゆっくり、ゆっくりと進む渡し船。

福島県の会津地方を流れる只見川で夏の早朝に現れる水墨画のような光景から、この場所は“霧幻峡”と名付けられた。とはいえ、周囲には小さな集落があるのみで、交通の便も決して良いとは言えない、この“霧幻峡”。

しかしその“秘境”に今。海外から旅行客が続々と押し寄せている。中でも特に多いのが台湾からの観光客。

26日午後には台湾から30人ほどの団体客がこの“霧幻峡”に。風景を写真におさめるなどして“霧幻峡”を満喫していた。

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なぜ長い時間をかけて“霧幻峡”を訪れたのだろうか。実は人気の“火付け役”となった人物がいる。それが、この地域の集落で幼少期を過ごした星賢孝さん(70)。

星賢孝さん「観光で活性化する元気にするには何がいいかと考えたときに、やっぱり渡し船かなと」

かつて運航されていた渡し船を10年ほど前に復活させ、自ら船頭を務めるだけでなく、幼い頃から思い入れが深いこの場所を星さん自ら“霧幻峡”と名付け、日々変わる風景を撮影し、自らのSNSに続々とアップ。

特に中国ではメディアで紹介されたこともあり、台湾など中華圏から多くの旅行者が訪れている。

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そしてこの“霧幻峡”人気は、地域全体にも広がっている。“霧幻峡”から車で1時間ほどの隣町にある大衆食堂。店の名物は、ラーメン、カレー、トンカツを載せたよくばりメニュー。こうした庶民派グルメを求め台湾からの客が多くなったという。

そのため店は中国語などで表記したメニューを用意。さらにこの地域一帯の外国人の宿泊者数は、2015年は573人だったが去年は2153人とおよそ4倍に急増している。

このフィーバーは地域だけにとどまらず、県全体にも――。

“霧幻峡”がある只見川の上を走るローカル列車「只見線」。8年前の豪雨被害で、今も一部区間は不通のままだが、秋には紅葉とのコントラスト。そして、冬には雪景色を目当てに列車に乗る外国人旅行者が増えているという。

そして今年3月、福島県はこの高まる人気を受け、「只見線」をPRする動画を公開。県の魅力を伝えるツールにしたいとしている。

たった一人の住民による地元愛から生まれた“霧幻峡”。その人気は今後さらに世界中へと広がっていきそうだ。