ダム人気 バンジー、日本酒…意外な活用も
日本一の高さからバンジージャンプを楽しむ人々。実はここ、ダムなのだ。3年で観光客は20倍に。今、ダムを意外な形で活用する動きが広がっている。
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山奥へ続々と歩いていく人たち。その先にはそびえ立つコンクリートの高い壁。ここは群馬県長野原町にある八ッ場ダム。この日行われていたのは、予約なし、無料で参加できるダムのガイドツアー。定員を20人も上回る約60人の観光客がつめかけた。その人気のワケは…
ツアーガイド「満水の時はここから下3メートルが湖になります」
まだ水が張られていない完成前のダム見学ができること。すぐそばを工事車両が通るなど、臨場感あるダム。水を入れる前の姿はこの秋までしか見られないという特別な光景に参加者は――
参加者「実物は初めてみたのでこんなに大きいんだなと」「まっさらな所見られて純粋に珍しい」
ダムの見学者はこの3年間で20倍に増えているという(2016年度2963人→2018年度5万4862人)。
さらに、ダムに水がない今しかできないアクティビティーも。日本一高い106mから飛び降りるバンジージャンプ。なんとマンションの30階に相当する高さだ。
体験者「飛んだら案外大丈夫でした」「水が張る前に群馬県民なので体験しておきたい」
2万円という料金にもかかわらず、挑戦者が絶えなかった。
八ッ場ダム工事事務所・遠藤武志副所長「ダムを見るだけではなくて、土産を買ったりご飯を買ったり泊まっていただくというふうに、地域振興につながれば」
■ダムで「熟成」
ダムの新たな活用法も。長野県には、ダムで熟成させた日本酒も。
黒澤酒造・黒澤孝夫代表「冷暗避暑で一年を通し貯蔵できるところを探していた」
案内されたのは長野県佐久穂町の余地ダム。熟成が行われていたのは、ダムの管理のためなどに設けられたトンネルの空きスペースだった。
コンクリートの壁に囲まれたこの室内は、温度が10℃前後に保たれ、日本酒の熟成にぴったりではと初めて挑戦。電気代のかからないエコな熟成ができるメリットもあったという。
約4か月“ダム熟”された日本酒(井筒長特別純米ひやおろし 720ml 1415円・税込)の味は――
「口に入れた瞬間、香りがふわっと抜けていって、甘みが強く爽やかな味わいです」
地元ではダム熟日本酒を売り出すことで、ダムや酒蔵を知ってもらう機会となり、相乗効果も期待しているという。