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フェスで女性DJが「性被害」波紋 SNSで被害者バッシング 専門家「日本は意識が低い」

2023年8月16日 20:59
フェスで女性DJが「性被害」波紋 SNSで被害者バッシング 専門家「日本は意識が低い」

韓国の女性アーティスト、DJ SODAさんが自身のSNSで、大阪で行われた音楽フェスで性被害に遭ったことを告白しました。今、この問題がSNS上で議論になっています。

●卑劣な行為…罪に問われる?
●国連も投稿 被害防ぐには

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■「未だに怖くて手が震えている」“性暴力”その時何が…

DJ SODAさんは自身のX(旧Twitter)に14日、次のように投稿しました。

DJ SODAさんのX(旧Twitter)より
「日本の大阪ミュージックサーカスフェスティバルで公演を終えましたがその時に凄く悲しい出来事がありました」
「数人が突然私の胸を触ってくるというセクハラを受けました」

これを受けて、この音楽フェスの主催者が「法的措置を取る」という厳しい姿勢を見せています。音楽フェスの当日に一体、何が起きていたのでしょうか。

SODAさんがXに投稿した画像では、明らかに胸に手が伸びて、触れているように見えます。

問題が起きたのは、13日(日)に大阪・泉南ロングパークで行われた野外音楽フェス、「MUSIC CIRCUS’23」での出来事でした。出演していたのは韓国の女性アーティスト「DJ SODA」さんです。インスタグラムのフォロワーは515万人で、若い人たちの間にとても影響力があります。

DJ SODAさんのX(旧Twitter)より
「あまりにも大きな衝撃を受けて未だに怖くて手が震えています」
「DJをしてから10年たちますが公演中にこんなことをされたことは人生で初めてです」

SNSへの投稿は日本語でされ、男性だけでなく女性の客からも胸をつかまれる被害を受けたということも訴えています。

■主催者側「法的措置を取る所存」 どのような犯罪に…

この事態を受けて主催者側も動きました。SODAさんが投稿した翌日の15日には「MUSIC CIRCUS‘23で発生した性暴力事件について」とする声明を発表しました。

主催者・株式会社TryHard Japanの声明より
「このような行為は性暴力、性犯罪であり、断じて許すわけにはいきません」
「損害賠償請求や刑事告訴など、民事及び刑事の法的措置を取る所存です」
「様々な角度から犯行現場をとらえた映像がありますので」
「すみやかに警察署に出頭し、また当社にご連絡ください」

胸を触ったとされる人たちに出頭するよう呼びかけています。

こうした行為は犯罪になるのか、性犯罪に詳しい青木千恵子弁護士に聞きました。

青木弁護士によると、今回の場合、大阪府の迷惑防止条例違反になる可能性があるといいます。6か月以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則があります。また、公共の場所で人を著しくはずかしめるような行為で、「痴漢行為」にあたる可能性があるということです。

■服装を責めるような意見 SODAさん「何を着ていたかは問題ではない」

一方で、今回の問題について、SNSでは次のような意見も飛び交いました。

「ぶっちゃけ、そんな格好しているからでは?」
「とりあえず、服装から変えてみたら?」
「危機感がなさすぎてアウト」

こうした、被害者の服装を責めるような意見に対して、SODAさん本人が反論の書き込みをしました。

DJ SODAさんのX(旧Twitter)より
「私がどんな服を着ていたとしても、私に対してのセクハラと性的暴行は正当化できない」
「私は自分が着たい服を着る自由があるし、私の体は自分のもの」

触る方が悪いわけで、どのような服を着ていたかは関係ありません。被害者が責められる話では絶対にないと思います。

SODAさんの書き込みがあった日の夕方、日本にある国連広報センターがXに次のような投稿をしました。

国連広報センターのX(旧Twitter)より
「女性に対する暴力を終わらせよう、今すぐに」
「性的暴力のサバイバー(=被害者)が襲われた時、何を着ていたかは関係ありません」

こうした内容とともに、「あなたは何を着ていたか」というタイトルで国連本部にて行われた展示会の動画も公開されました。性暴力を受けた被害者103人がその時に着ていた服が展示されたものです。

登壇した女性は「私が何を着ていたかが問題であってはなりません。どこに住んでいるかで適切な配慮を受けられるか、違いがあってはなりません」と訴えていました。

性暴力の被害を受けた人たちが、自分たちの服を展示して「何を着ていたかは問題ではない」と抗議の意志を示したということです。

■被害者を責める風潮…なぜ残る? 「日本は意識が低い」

いまだに残る被害者を責めるような風潮を改めていくには何が必要なのか、性暴力の問題に詳しい日本女子大学の大沢真知子名誉教授に聞きました。

大沢名誉教授は、「日本では、被害者に対してのバッシングが必ず起きる。『被害者の人権』を考える意識が、日本はヨーロッパに比べて低い。それが二次被害を生んでいる」と指摘していました。

一方で、日本でも先月に改正刑法が施行されて、新たに「不同意わいせつ罪」ができました。これは被害者の同意がなければ「わいせつ」になり得るという法律です。

大沢名誉教授は、これについて「非常に大きい。現在の国際社会が『被害者側の目線』で人権を尊重する流れのなかで、ようやく法律が追いついた。あとは、私たちの意識を国際的な流れに合わせていく必要がある」と話していました。

    ◇

私たちがいつ被害者になってもおかしくないですし、一方で、古い感覚のままだと加害者になってしまう可能性もあります。相手の気持ち、意思をできるだけ尊重する社会にしていくため、日本でも意識の改革が必要です。

(2023年8月16日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)
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