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ミツバチの大群が……メジャーの試合も遅らせる“分蜂”とは 温暖化でスズメバチの活動長く→巣も大きく?【#みんなのギモン】

2024年5月3日 9:57
ミツバチの大群が……メジャーの試合も遅らせる“分蜂”とは 温暖化でスズメバチの活動長く→巣も大きく?【#みんなのギモン】
米メジャーリーグの1日(日本時間)の試合で大量のミツバチが集まり、試合が2時間遅れました。これは春ならではの現象で、日本でも身近なところで見られます。ミツバチより注意を要するスズメバチは、地球温暖化で遭遇する可能性が高まるかもしれません。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「春のハチには…要警戒?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●日本でも? ハチの○○シーズン
●温暖化でスズメバチ増加?

■先代の女王バチ、巣を出て引っ越し

菅原薫・日本テレビ解説委員
「メジャーリーグの試合でミツバチが密集していたのは、ミツバチの分蜂(ぶんぽう)と呼ばれる現象です。京都産業大学生命科学部の高橋純一准教授(先端生命科学科)に聞いたところ、ちょうど今ぐらい、春の時期はミツバチのお引っ越しシーズンだそうです」

「ミツバチの巣には通常、1匹だけ女王バチがいますが、この時期新しい女王バチ候補の子どもたちを産みます。この子どもたちが卵からかえると、古い先代の女王バチは巣の半分くらいの働きバチや雄バチを連れて引っ越しをします。これが“分かれるハチ”分蜂です」

「高橋准教授は、メジャーリーグの一件について『ハネムーンの途中で旅行がてらスタジアムに寄ったんじゃないかな』とのことでした。ハネムーンで駆除されてしまったということですよね…」

森圭介アナウンサー
「分蜂という言葉は初めて知りました。ミツバチやアシナガバチなど、ハチにもいろんな種類がありますよね。分蜂するのはミツバチだけなんですか?」

菅原解説委員
「日本ではミツバチだけだそうです」

忽滑谷こころアナウンサー
「日本でも、身近に分蜂しているハチを見かけることがあるかもしれないということですか?」

■5年前に撮影…恵比寿で「分蜂」か

菅原解説委員
「そうです。2019年4月、東京のど真ん中の恵比寿で捉えられた映像があります。『電柱にハチが大量にいる』という110番通報があり、たくさんの人たちが駆けつける事態になりました。近くで飼われていたハチが分蜂のために集まった可能性があるということでした」

桐谷美玲キャスター
「これだけ大量にハチがいると驚きますよね。私も昔は、ハチというだけで怖いなという印象を持っていたんですけど、ミツバチについて勉強する機会があって、むやみやたらに刺さないと教えてもらいました」

■巣がないと基本的に刺さないミツバチ

菅原解説委員
「高橋准教授によると、巣がなければミツバチは基本的に刺すことはありません。ミツバチが刺すのは、巣の子どもやハチミツを食べに来た天敵に対してです。分蜂を見かけても慌てず騒がず、近づかない。数時間もすると新しい巣を作るために移動していくそうです」

桐谷キャスター
「花粉を運んだり受粉したりするミツバチがもしいなくなってしまったら、世界中の農作物の3分の1がなくなるとも言われています。ミツバチを見かけたら、遠くから見守りたいなと思います」

鈴江奈々アナウンサー
「そういう情報を聞くと、ミツバチさんにむしろ感謝しなきゃいけないですね」

■毎年死者を出しているスズメバチ

菅原解説委員
「ただ、ミツバチと違って注意した方がいい凶暴なハチもいます」

「2022年に撮影された映像では、キイロスズメバチを駆除する様子が捉えられています。『埼玉39消毒』の櫻庭誠治さんは『どう猛性が高くて、人間にとっては非常に危ない種類ですね』。依頼者の息子は刺されたといいます」

「私たちの家のすぐそばに巣を作り、毎年死者も出ているスズメバチ。いつがシーズンだと思いますか?」

森アナウンサー
「夏休みに気を付けろと言われた覚えがあるので、夏ですか?」

■温暖化でスズメバチの活動に変化?

菅原解説委員
「そうです。最も活発なのは、夏から秋にかけてです。ただ、九州大学大学院(応用昆虫学)上野高敏准教授によると地球温暖化の影響でスズメバチの活動シーズンが長くなってきているといいます」

「スズメバチの種類によっても多少違いはあるそうですが、東京周辺なら桜の終わり頃の4月中旬から活動し、5月上旬はちょうどスズメバチが冬を越して目が覚め、活動を始めている時期だといいます」

「ただ温暖化が進むと冬を越して生き残れる確率が高くなります。さらに春の活動開始が早くなり、秋の遅くまで活動できます。活動期間が長くなると、巣も大きくなるということです」

鈴江アナウンサー
「大きいスズメバチの巣に遭遇してしまったら、どうしようと(思ってしまいます)。正しく恐れた方がいいわけですよね?」

忽滑谷アナウンサー
「期間が長くなっているということは、私たちが遭遇する可能性も高くなっているということですよね?」

菅原解説委員
「そうです。心配なのが、都市部で増えていると考えられるということです。都市部でも生きられる“都会型”のキイロスズメバチなどは天敵がおらず、温暖化でより繁殖しやすくなったことにより、個体数も増えている可能性があるといいます」

■今の時期のスズメバチの特徴は?

菅原解説委員
「ではどうすればいいのか。今の時期、スズメバチは比較的攻撃性が低いそうです。分蜂しないため、今は巣には冬を越えた女王バチ1匹しかいません。まず体力を回復して巣作り、子育て、掃除、エサ集めと、“ワンオペでめっちゃ大変”なんです」

「夫のハチは去年死んでしまっていないし、誰も手伝ってくれない。そのため、とにかく忙しいから人間に興味がないという状況です。女王バチにとって大事なのは自分が生き残ることなので、下手に人間に手を出して反撃されたら困るじゃないですか」

「こうした女王バチが1匹の時期は、どんなに早くても5月中旬ぐらいまでだそうです。もしゴールデンウイークの旅行中に、車や室内に入ってきたら、窓を開けて勝手に出ていくのを待つのがいいということでした」

鈴江アナウンサー
「こういった生態をちゃんと理解した方がいいですね」

菅原解説委員
「ミツバチでもスズメバチでも、見かけたら刺激しないで落ち着いて距離を取るように心がけてください」

(2024年5月2日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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#みんなのギモン

https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html

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