「SNSで名前さらすぞ」「ネットにアップする」…自治体職員に“カスハラ”相次ぐ 対策は?
客が悪質なクレームを行うカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」が、市役所の窓口など自治体でも問題になっています。「SNSで名前をさらす」と言われるなど、職員の中には大きなストレスに直面している人もいました。
「俺は客だぞ! バカにするんじゃない!」
「金払ってやってるんだぞ!」
客から従業員への理不尽な要求や暴言「カスタマーハラスメント」、略して“カスハラ”。あなたは、“カスハラ”を受けた経験がありますか?
父親がコンビニに勤務する人
「『温めてください』と言われて温めたんですけど、渡したら『温まってないじゃねえか』と思い切り投げつけられたと父から聞いて、怖いなと」
コンビニに以前 勤務した人
「店員に向かってお金を投げる人、商品を投げる人は結構います。“お客様は神様です”という精神が、まだ根付いているのか」
news every.が取材に向かったのは、滋賀県長浜市。ここでは、自治体職員が“カスハラ”に悩んでいました。
長浜市人事課 西川さん
「『職員が上から目線で説明した』とか、『職員は公僕として、丁寧に説明するのが当たり前』、『市民のために、しっかり働いてもらわないといけない』とコメントをいただく」
実はいま、自治体職員への“カスハラ”も問題になっているのです。
各地の自治体を取材すると、数々の“カスハラ”が明らかになりました。
「言い方が、上から目線だ」
「税金で生活しているんだから、丁寧に説明すべきだ」
「税金を納めてください」という職員のお願いには――
「政治家は納めてないんだから、俺もいいだろ?」
他にも、窓口対応の様子をYouTubeに投稿された事案もありました。
これらは、自治体が受けた“カスハラ”の、ほんの一部です。
全日本自治団体労働組合の調査では、“カスハラ”を受けたことがある自治体職員は、約半数の46%。
その内容は「暴言や説教」に「長時間のクレームや居座り」、「土下座の強要」、「暴力行為」や「金品の要求」など、法律違反にまで発展したケースもあるといいます。
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また、職員の“名前”をめぐる“カスハラ”も起きています。
「名前と顔を覚えた。インターネット上にアップする」
「SNSで名前をさらすぞ!」
大声で、フルネームを叫ばれることもあるといいます。
さらに――
記者
「SNS上には、市役所の職員を名乗るアカウントがあります」
観音寺市役所の職員を名乗る複数のアカウントがSNS上にありますが、香川県観音寺市によると、これらは、職員とは無関係の“なりすましアカウント”だといいます。
物議を醸す投稿が続けられていて、投稿を見た人から「職員が、こんなことを投稿していいのか!?」など、少なくとも5件の苦情が寄せられているといいます。
市は、警察や弁護士と対応を協議中だということです。
名前をめぐるカスハラに、自治体も対応を始めています。
滋賀県長浜市では、4月からフルネーム名札を廃止。部署名も外し、名字だけの名札で対応していくということです。
長浜市人事課 西川さん
「市民のためを思って働く職員が、“カスハラ”を受けることなく、安心して働ける職場環境を作っていきたい」
フルネーム名札廃止の動きは、各地で進んでいます。
なりすまし被害を受けていた香川県観音寺市では、3月から名札を名字のみにしました。
東京都品川区では、今年1月から名字のみの表記にし、顔写真もやめました。
千葉県船橋市では、4月から“名前なし名札”に変更されるということです。
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進む“カスハラ”対策。
自覚なく“カスハラ”、していませんか?