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都が「カスハラ防止条例」制定へ……効果は? 「ブスと暴言」「怒って勝手に帰っちゃった」 客の暴言、理不尽な要求の中身

2024年2月21日 10:24
都が「カスハラ防止条例」制定へ……効果は? 「ブスと暴言」「怒って勝手に帰っちゃった」 客の暴言、理不尽な要求の中身

客が悪質なクレームを行うカスタマーハラスメント(カスハラ)。暴行や強要などの犯罪につながる深刻なケースも増えています。東京都は20日、カスハラの防止条例を制定する方針を明らかにしました。罰則はないものの、どんな効果が見込まれるのでしょうか?

■後絶たず…客の理不尽な行動や暴言

東京・渋谷で20日、客から受けたハラスメントや筋違いな言動について聞きました。

飲食店勤務(20代)
「(好きな)席がないっていう理由だけで、急に『ブス』とか暴言はかれるとか。あとは無理に返金を強いられるとか」

居酒屋勤務(20代)
「(料理の)提供が遅れちゃった時に、怒って勝手に帰っちゃったり。ドアをバーンって閉めて帰っちゃった」

飲食店勤務(20代)
「(店が)もともとは23時まで営業してたので、コロナ禍で時間短縮になったせいで、閉店時間後にお客さんが来られて『もともとはこの営業時間だっただろ』って理不尽に怒られた」

有働由美子キャスター
「聞いているだけで腹が立ちますが…。客が従業員に対して悪質なクレームを行うカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラ。20日、東京都が防止条例を制定する方針を明らかにしました。制定されれば全国で初となります。問題になっていましたが、ついにですね」

■鉄道会社と衣料品店での深刻なケース

小野高弘・日本テレビ解説委員
「深刻なケースが増えているようです。鉄道会社では、ホームで放尿していた乗客に駅員が注意していたところ、逆上して顔を殴り、首を絞めるなどしました。カスハラが高じた暴行ですよね」

「札幌の衣料品店では、客が返品に来て店員に向かって『店に来るのにかかった交通費と時間を返せ』と言いました。そして店員に土下座させ、その姿を撮影してSNSに投稿しました。強要の疑いで逮捕されました」

■ガイドラインで明記へ…想定される例は

小野委員
「こういったことを食い止めなければいけません。そこで東京都は、具体例をガイドラインで示して禁止する考えです」

「想定しているものは、長時間にわたる従業員の拘束、『バカ』といった侮辱的発言、ネット上で『〇〇は最悪だ』のように個別の名前を挙げて名誉を棄損する情報、またはプライバシーを侵害する情報を掲載することなどです。ただ罰則は設けない方向だといいます」

■条例で「問題意識」と「共通認識」を

有働キャスター
「そうすると、効果はあるのですか?」

小野委員
「条例によって、まずは皆さんに意識を向けてもらうことが目的のようです」

「カスハラ問題に詳しい関西大学の池内裕美教授は『カスハラの認知度はまだ低い。条例を作ることで問題意識が向上し、社会全体で深刻な問題だという共通認識を持つことにつながる』と評価していました」

「カスハラの中でも行き過ぎた行為があれば、東京都はこれまで通り、強要罪など刑法を適用するということです」

■落合さんに聞く…「抑止力」になるか

有働キャスター
「カスタマーハラスメントに条例、ということですが、落合さんはどう考えますか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「条例は作っておいた方がいいと思いますね。タクシーの運転手さんに偉そうな人とかいますよね。コンビニの店員さんにカスハラする気持ちも全く分かりません。条例ができたらいわゆる違法行為になるので、そういう人たちには抑止力になるのではと思います」

「罰則はなくても企業や店員が、録音や録画を公開しやすい方向になっていくのではないかなと思います」

有働キャスター
「こういった話をすると、『客なのに文句も上げちゃいけないのか』という声が聞かれますが、あくまでも相手を傷つけるクレームがカスハラということです」

「ある調査では、迷惑行為をした客の推定年齢で最も多かったのが50代でした。自分が正義と思いがちな年代ですけれども、そういう時ほど気をつけましょう」

(2月20日『news zero』より)