新治療薬が効きにくい変異したインフル検出
インフルエンザの流行が始まったが、新しい治療薬が効きにくいように変異したウイルスが早くも現れ、特に子どもで多くみられると東京大学などの研究チームが発表した。
去年3月に販売が開始されたインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」は、錠剤を1回飲むだけで治療が完了することから、広く使われ始めた。
東京大学の河岡義裕教授らの研究によると、昨シーズンに、A型インフルエンザにかかり、ゾフルーザを飲んだ患者38人を調べたところ、9人からゾフルーザが効きにくいように変異した、いわゆる耐性ウイルスが検出されたという。このうち8人は、15歳以下の子どもだった。
研究グループは、子どもは、ウイルスを攻撃する免疫が十分に働かず、耐性ウイルスができやすい可能性があるとし、子どものゾフルーザの使用については慎重な判断が必要だとしている。
また、早くもこの耐性ウイルスが人から人にうつっている可能性もわかった。研究チームが、A型インフルエンザの患者で、ゾフルーザを飲んでいない人215人を調べたところ、2人から耐性ウイルスが見つかり、いずれも15歳以下の子どもだった。
このうち1人は、家族が1週間前にゾフルーザを飲んだということで、この家族から耐性ウイルスがうつった可能性が高いという。
そして、この新しい耐性ウイルスの性質を調べるため、耐性ウイルスを感染させた動物で実験したところ、飛まつ感染することや、体重が減るなど通常のインフルエンザウイルスと同じ程度の感染力や病原性を確認したという。
この結果から、研究グループは、ゾフルーザが効きにくく、通常のインフルエンザと同様の症状をもたらすこの新しい耐性ウイルスが、今後、人から人へ広がる可能性があるとしている。