”泣こよかひっとべ!!”方言の魅力を伝える作家
■”泣こよかひっとべ!!”保育園の子供たちに伝える鹿児島弁
植村紀子さん(61)。鹿児島市に住む児童文学作家です。保育園の子ども達に伝えるのは、そう、鹿児島弁のおもしろさ。
(植村紀子さん)
「こいも(これも) そいも(それも) あいも(あれも) どいも(どれも) おいも(芋)ー!」
(園児)
「楽しかった」
(山下香キャスター)
「嬉しいときは、なんて言う?」
(園児)
「うれしか!」
(園長)
「ほとんど職員も私も鹿児島弁で会話することが少なくなってきたので貴重な時間」
3日後、今度は薩摩川内市の小学校でも…。
(植村紀子さん)
「ごわす(です)とかいうのが鹿児島弁じゃないの?違う、違う、それも鹿児島弁だけどこのメロディの上がり下がりが、ああ同じ県の人じゃないかなと懐かしいなという気持ちになる」
イントネーションの特徴や若い世代はあまり使わなくなった昔ながらの鹿児島弁を紹介。すると…
(児童)
「家の犬はいつも静かにいじめられてぐらしか(可哀想)」
(植村紀子さん)
「ぐらしか!よく知ってたね」
子ども達も鹿児島弁を使ってみたくなったようです。
(児童)
「好きです 鹿児島弁」
(児童)
「他のところと少し違っていいなと思います」
■植村さんが作家を目指したきっかけには・・・あの日本を代表する詩人が!!
鹿児島弁、まさかフランス語と相性が良いとは。思わず口ずさんでみたくなる音の響き。本には赤ちゃんから耳で楽しめる言葉遊びが詰まっています。故郷の言葉を大事にしてほしい。そこには、こんな思いが・・・。
(植村紀子さん)
「今風の言葉で言うと多様性っていうのですかね。鹿児島弁っていう、私たちの地元の言葉を馬鹿にしたり、蔑んだりする風潮だと、お隣さんの国の言葉とかも蔑んだり、馬鹿にしたりに繋がっていく。地元の言葉を、まず尊敬して好きになると言うのが大げさに言うと世界平和に繋がっていくのじゃないか」
(植村紀子さん)
「目で見るより耳で聞いた方が面白いですね、本にされるときはCDをつけた方がいいですよと言って下さって」
完成した本の帯には谷川さんの言葉が。
“掘り出されたばかりのサツマイモみたいに無骨だが、焼きたての、さつまいもみたいにおいしいことばたち、懐かしい声がひそんでいる、昔からの暮らしの匂いがよみがえる”
その後も谷川さんとの手紙や電話でのやりとりが、創作の原動力に。今年9月、新刊の出版を電話で報告したのが最後の会話となりました。
(植村紀子さん)
「”しゅんたろうさーん!”って呼んでしまったら”そんなに声を張り上げなくても大丈夫。心配してくれてありがとう”って」
「耳で聞く方が面白い」谷川さんにそう評された鹿児島のことば。ここからは植村さんの語りでお届けします。
今月、「鹿児島」をテーマにした作品の合同展示会に参加しました。ここで思いがけない出会いがあったんです。滋賀県から修学旅行で来ていた中学生。
(中学生)
「国語の担任の先生がこれを推してて」
なんと私の作った「鹿児島ことばあそびうた」を読み鹿児島弁を学んできたというのです。
(植村紀子さん)
「すばらしい鹿児島アクセントだ」
(中学生)
「自分の郷土の滋賀県の言葉と今回、修学旅行で鹿児島に来て違いとか似ているところを見て、自分たちの郷土もめっちゃ大切にしようと思えたしまた新たな土地にも足を運んで学んでいきたいと思った」
なんちゅあならん素敵な言葉。涙が出るほど嬉しいでした。