戦争を知らない高校生が描く「原爆の絵」
広島の基町高校では、被爆者の証言から絵で原爆の記憶を残す取り組みを12年前から続けています。その取り組みを取材しました。
“死んだ我が子を背負う若いお母さん”
“逃げ惑いながら水を求めて”
“本当に、おとうさん?”
これらの絵を描いたのは、戦争を知らない広島市・基町高校の生徒です。
高校3年生の猿田起之さん、今年、原爆の絵に挑みます。
猿田さん「原爆の絵は初めてですが、全力で頑張っていきますのでよろしくお願いします」
今回、被爆の証言をしてくれる末岡昇さん。
末岡さん「(遺体が入った)大きな木箱が2つか3つ、ここに打ちあげられてるんです」
海岸に流れ着いた遺体の入った木箱、それを運ぶ人たち、猿田さんはその場面にひきつけられました。亡骸(なきがら)の重さ、それを運ぶ人の感情、写真を撮って想像を膨らませます。
猿田さん「もうわからないんだよ!俺には。ホントCGで描きたいわ!」
末岡さんと実際の海岸を訪れ、自分で感じ、当時の光景に近づけていきます。それでも、描けない…。
この日猿田さんたちは、原爆資料館へ行き、被爆者が描いた絵を初めて目にしました。
是永千穂さん「被爆者さんの絵を見たときに、怖いとかだったり、そういう感情とかも受け取ることができたので、やっぱり絵で描くことに意義があるんだなって」
被爆者の思いを絵にのせたい…。
絵を描きはじめて9か月、末岡さんに絵を見せる日。
末岡さん「顔が見えないから余計恐ろしい。当然しゃべる人もいないし、ただ黙々と無言で(遺体を)運んでいくという」「伝わると思います」「お礼を言いたいです」
生徒たち「こちらこそ、ありがとうございました」
“原爆の絵”は今年で137枚になりました。高校生の絵を見て、原爆の記憶を未来に…。
※2018年8月放送、広島テレビで制作したものをリメイク
【the SOCIAL×NNNドキュメントより】