外国人急増!高級ホテル続々の裏で“窮地”
北海道のニセコ周辺ではいま、リゾートホテルの建設が続々と進められている。外国人観光客を増やすために政府も後押しする「世界レベルのホテル建設」。その一方で、昔ながらの旅館は窮地に追い込まれているところもある。そのワケとは?
北海道・ニセコ地区にある高級リゾートホテルが記録的数字をたたき出した。
綾ニセコ総支配人、杉木義章さん「冬場でいうと9割8分ぐらいは外国のお客様」
押し寄せる外国人観光客。今、ニセコ地域を訪れる外国人は5年間でおよそ2倍に増えている。
杉木義章さん「今現在50人ぐらいの従業員がいますが、日本人の従業員は6~7名ぐらい」
このホテルの宿泊費は最低でも8万4060円。高級ホテルに宿泊する外国人の目的は…。
マレーシア観光客「スキーするのは初めて!」「有名なパウダースノーがみたかったの」
ニセコのパウダースノーでスキーをすること。ゲレンデ直結という好アクセス。そして、温泉やサウナが「珍しくて魅力的だ」と話す。
アメリカ人観光客「きのうスキーの後に温泉にいったんだよ!」
ニセコ周辺には、こうした外国人富裕層をターゲットとしたリゾートホテルが建設ラッシュ。まもなく、高級ホテルのパークハイアットに加え、リッツ・カールトンもオープン予定。ニセコが注目される理由について、専門家は…。
第一生命経済研究所、首席エコノミスト、永濱利廣さん「雪質がいい。スキー施設が提供できますから、そういったところをより海外にアピールすることによって、海外の超富裕層にきてもらって、たくさん金落としてもらう戦略だと思います」
海外のリゾートホテルが狙っているのは、外国人富裕層にうけるニッポンの特別な体験。ニセコでのスキーは、これにうってつけだと話す。
◇
一方、日本の古きよき旅館は窮地に陥っているという。雪景色を望む露天風呂に…地元の海の幸。繁忙期でも1泊2食付きで1万円ほどのこの旅館。
お客さんの数には困っていないのだが、近年、頭を抱えていることが…。
ニセコ五色温泉旅館、佐藤雄治社長「(外国人客に)タトゥー入っている人いますよね。古い世代の日本人の方とかだと怒って裸で受付に来たり」
外国人客がらみのトラブルが増えている。
さらにここは、最寄り駅からいずれも10キロほど離れている山奥の温泉旅館。食材の仕入れや調理に加え…夏はいいが、冬はこの有様。雪下ろしなど多岐にわたる仕事は、わずか6人のスタッフで切り盛りしている。
佐藤雄治社長「全身筋肉痛・腰痛。そういう仕事を喜んでやる若い人がいないんですよ」
後継者も決まっておらず、この先の経営に不安を抱えているという。
隣町では、高齢化や後継者不足によって2軒の旅館の休業が相次いだ。老舗旅館は、大きな分岐点に直面している。