電話1本で駆けつける“移動する病院”
電話1本で駆けつける「移動する病院」。
都内を走る1台のワンボックスカー。乗っているのは、救急救命医の名倉義人さん。医師の携帯電話が鳴ります。
名倉医師「もしもし、名倉です。72歳の男性。38度9分ですね、はいわかりました」
高熱を出し、体がだるくて歩行が難しいという患者のもとを訪ねました。
患者の妻「1回病気してるから心配で」
名倉医師「胸の音が若干ヒューヒューいってるんですよね。レントゲン撮ろうかな」
部屋の中で小型のレントゲン撮影機を組み立てます。
名倉医師「息を吸って。はいとめます」「ちょっとカゲあるなあ」
レントゲンの画像を見ると肺に白いカゲが。診断は肺炎。さらに詳しく調べるため、血液検査を行います。数分後…。
名倉医師「正常の範囲内ですので、それほど重症ではない」
この日は解熱剤や抗生物質などを処方しました。
あらゆる症状に対応できるよう70種類以上の薬を常備。ほかにも心電図や点滴などさまざまな医療機器を備えています。往診で対応できる病気やケガで、通院が困難と判断した場合に患者のもとに向かいます。
名倉医師「救急車呼ぶほどじゃないと思ってたんだけど、歩けないから呼んだという方が非常に多い」
このような軽症患者の受け皿となるため、名倉医師ら医師2人と起業家らがファストドクターという企業を立ち上げ、サービスを始めました。初診料や往診料など医療費は保険が適用され、その他に交通費と深夜の往診料などが加算されます。
ファストドクターの本社では、多い時で15人程度の医師の現在地をリアルタイムに把握。患者から一番近い場所にいる医師を急行させる仕組みです。現在、拠点を都内2か所と大阪に置き、週末や祝日と夜間や早朝などにサービスを展開。名倉医師の診察は朝6時まで続きます。
次の患者は87歳の女性。体調を崩し、数日間食事も水分もあまりとれない状態でベッドに横になっていました。超音波映像で患部を映し出し診察。
名倉医師「ちょっと心配なのは腸閉塞なんですよね」
薬を処方し、翌日に名倉医師が電話で容体を確認することになりました。実際にファストドクターを呼んだのは患者の息子。
息子「知らなかったです。携帯で見て、ネットで見て知りました」
利用者の多くはインターネットで知った若い世代だといいます。しかし往診を必要とすることが多いのは、自力で救急外来に行くことが難しい高齢者。高齢者にもこのサービスを知ってもらうことが課題です。
名倉医師「結局知らなければ、ないのと一緒ですから。頑張らなきゃいけないなと思います」
【the SOCIAL viewより】