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民間企業がPCR検査キット 医師会が懸念

2020年4月23日 1:16

民間企業が、法人向けに新型コロナウイルスのPCR検査キットを発売したことについて、日本医師会は、個人が、鼻やのどの奥に棒を差し込んで検体を採るのは難しく、検査結果が信頼できない、などと強い懸念を示しました。

政府の専門家会議のメンバーでもある日本医師会の釜萢敏常任理事は、22日の会見で、大手IT企業「楽天」が、法人向けに20日に販売を開始した新型コロナウイルスのPCR検査キットについて、「大きな問題がある」と述べました。

この検査キットは、法人が楽天に申し込み、従業員が鼻やのどの奥の粘液を検体として採って送る形です。釜萢氏は、「検査は医療行為の中で行われるべき」と述べ、検体を採取する際、くしゃみなどで、周りに感染を拡大させるリスクがあると述べました。

そして、医師でものどを十分にぬぐって粘液を採るのが難しいとされる中、釜萢氏は、「正確に採取できないと、ウイルスに感染していても検査結果が陰性となる場合がしばしば起こりうる」として、「この結果に頼りすぎるのは危険だ」と注意をうながしています。

この検査キット発売については、政府の専門家会議も、22日、日本医師会と同様の懸念を示しました。

検査キット販売の背景には、PCR検査が受けられない例が相次いでいることがあるとして、医師が必要と判断した場合は、「幅広く検査を受けられるようにすべきというのは、日本医師会としても主張してきた」と述べました。