異例の規模「予防的」通行止め “大きな混乱なし”も不満の声…今後の課題は
首都圏では5日、事故や立ち往生を防ぐための「予防的通行止め」の措置が取られました。その効果と今後の課題とは。
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「事故や立ち往生を防ぐための『予防的通行止め』の措置で、東名高速、関越道、東北道などのほかに首都高速道路も7つの路線を雪が降る前に通行止めにしました。首都圏の高速道路をこれだけの範囲で予防的に止めたというのは、初めてですよね」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「首都圏の高速道路で過去にはこういったことが起きているんです」
小野委員
「2年前の大雪の時の様子です。上り坂で車がスリップして進まず道を塞いでいます。そして、横倒しになっている車もあります。こうなると、あとから車が来ると、ストップして立ち往生。長い列ができるわけです。そういったことだけは避けたい。だったら前もって通行止めにしようということなんです」
■東京と神奈川を結ぶ大動脈が使えない…ネットには不満の声も
有働キャスター
「それで今回は結果的には大きな立ち往生などの混乱はなかったようですね」
小野委員
「そういう意味ではよかったのですが…ただ、こういうことが起きています。東名高速が通行止め。加えて、並行して走る国道246号線も、同じように予防的に通行止めにしました。高速道も一般道もです。そうすると東京と神奈川を結ぶ大動脈が使えなくなってしまったわけです」
小野委員
「こういったことになると『すべてを止めすぎじゃないか』という不満もネットではあがっています」
「たとえば『止めるばかりじゃなくて、通行できる選択肢も考えてほしい』とか『冬用タイヤでしっかり準備している人にとっては、一斉通行止めはいい迷惑です』とか、『あらかじめ決めているならもっと早く知らせてくれないか』といった声もあるんです」
有働キャスター
「すごく難しい状況ですが、たしかにこういう声があるのもわかりますよね」
■関東地方整備局「全員が冬用タイヤをはいてくれるなら…」
小野委員
「そこで、こういう声があるのですが…ということを、高速道路会社に聞いてみました」
「『冬用タイヤつけている車だけでも通行できませんか?』と聞いたところ…『全員が冬用タイヤをはいてくれるならいいのですが、1台でもはいていないと立ち往生が起きかねません』(関東地方整備局)、『すべての入り口でタイヤの確認をする、そんな人員も時間もないんですよ』(NEXCO東日本)とのことです」
小野委員
「『周知するのが遅かったのではないですか?』と聞いたら、『先週金曜日にHPやSNSでお知らせしたのですが、今回は急激に雪が降ってアナウンスが直前になったところもありました』(NEXCO東日本)という話でした」
■今後の課題は…専門家「“お知らせ”広く周知されていたかどうか」
有働キャスター
「防災情報と同じで、利用する人は早めに知って対策しておきたいというのはたしかにありますよね」
小野委員
「はい。今回はどうだったのでしょう…と専門家の方に聞きました。中央大学・交通経済学の後藤孝夫教授ですが『立ち往生などが起きてしまった場合、そこから回復するのに大きな労力が必要になります。ですから、予防的通行止めをすれば、そうした損失を抑えられる可能性があります』と」
「『課題はどうですか?』と聞いたら、やはり『予防的通行止めをするお知らせが、広く周知されていたかどうかは、課題として残ります』と。『利用者の間にも、予防的通行止めの理解が広まるといいのですが』と言っていました」
有働キャスター
「落合さんは、この予防的通行止めについてどう考えますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「僕は当然やった方がいいと思うのですが…この件だけじゃなく、鉄道の計画運休などもどんどん予防的にやった方がいいと、前からそういう立場です」
落合さん
「コロナ禍でほとんどの企業は何らかのリモート勤務をしていたわけだし、お店もこういう時はどんどん予防的に閉めてもいいわけですし。学校も生徒の安全のために予防的に休みにしていい…という雰囲気に早くしたいのになんでそうなっていないんだろうと、思っています」
有働キャスター
「なるほど。人の気持ちも含めた社会的な対応力みたいなことが(求められますね)」
落合さん
「もうちょっとゆったりしてもいいのに。物流の人が大変なのはよくわかるのですが、割とそうじゃない方の人は休んでいいと思うのですけどね」
有働キャスター
「そして首都高ですが、現在関東の広い範囲に『濃霧注意報』が出ていまして、7日の昼前にかけてかなり見通しが悪くなるおそれがあります。引き続き、路面の凍結にも注意が必要です。最新の情報を必ず確認して、時間に余裕をもってお出かけになってください」
(2月6日『news zero』より)