雇用を守る「従業員シェア」ってなに?
休業などで雇用の維持が難しくなる中、一時的に別の会社などで働く「従業員シェア」の動きが広がっています。従業員シェアで働く人たちを取材しました(※5月18日時点の情報に基づく)。
■IT企業から居酒屋にシェア
都内の会社では、運営する飲食店の再開に向けた話し合いが行われていました。
会議のまとめ役をしているのは中野卓さん。実は、きょうが勤務初日で、レジャー施設などの予約を行うIT企業から派遣されています。
中野さんの会社では、外出自粛の影響で仕事が減少。そこで、出向先を探したところ、居酒屋を運営する会社が手をあげました。
派遣先の居酒屋運営会社の代表は次のように話します。
代表「会議が非常に活発化しました。非常に力強い助っ人が来たなと感じました」
中野さんは、かつて飲食系の仕事をした経験もあり、仕事にいかせそうだといいます。
中野さん「仕事がない人がすごい出ている中で、出向とは言え仕事があるって、本当に幸せだなって改めて思いますよ、本当に」
■LCC「ピーチ」が10万円の給付金の手続き業務
LCC「ピーチ」のオフィスで行われたのは、国から国民に支給される10万円の給付金の手続き業務。
国際便全便と国内線の8割が運休・減便する中、給付金の申請書類に記入漏れがないかなど、泉佐野市から請け負った確認作業を行っています。
■旅館の従業員が「らっきょう」
一方、出荷に向け、らっきょうの根や茎を切っていたのは、休業中の旅館の従業員。
旅館の従業員「いままで農業というものに興味がなかったんですけど。接客業とは全然違う仕事につかせてもらって食の大事さとか分かった気がします」
■ホテルマンがキャベツ畑で
日本有数のキャベツ産地、群馬県嬬恋村。機械で苗を植えているのは村のホテルマンです。
政府の緊急事態宣言でホテルが休業となり、出勤できる従業員が減ったため、秋まではキャベツ畑で働くことにしたといいます。
キャベツ畑で働く成田裕紀さんに話を聞くと。
成田さん「最初はちょっと腰が痛かったりとかあったんですが、1か月ほど働いて慣れてきて、毎日健康に働かせていただいております」
嬬恋村の産業を支える助っ人に、村も毎月4万円を支援することに。
嬬恋村の農林振興課長「外国人技能実習生が入国困難になりまして、実習生を受け入れている方々が、栽培をやれないと生産量も減少してしまうということから、農業を守るんだということで始めました」
成田さん「賃金を得て生活を安定させたいという気持ちもありますし、かたや農家さんでも人手が足りていない。地元でそういったところを協力して、お互い支え合うことができればそれは素晴らしいことだと思います」
※2020年5月18日放送『news zero』より