「密」回避キッチンカー注目 都は支援金も
様々な料理を提供するキッチンカーが、「密」回避の目的でも注目されています。新型コロナウイルスの流行で厳しい営業状況となり、新たな事業として始める人も増えているそうです。参入続々、注目のキッチンカー事情とは。
■売上げ回復も キッチンカーの可能性
アツアツの目玉焼きに、スライスされた絶妙な火入れの赤身肉が盛り付けられたローストビーフ丼。都内のキッチンカーが販売しています。
25日、東京・浜松町にはこのローストビーフを求めて車の前に行列が出来ていました。
若い女性「久しぶりに在宅明けで出社したので、どうせなら、おいしいご飯食べたくて」
新型コロナウイルスの影響で、一時は売り上げが半減したといいます。それが現在では、8割近くまで回復しているといいます。
買いに来た人の中には、店内での飲食を避け、キッチンカーを選んだという人もいました。
お客さん「まだ店内で食べるのは抵抗感があるので、キッチンカーだと気軽に来られるかなって」
キッチンカー運営11年目 SKY GARDEN’S KITCHEN・中村巧代表「飲食店での店内の飲食がやはり厳しくなってしまったので、キッチンカーの需要は増えたと思います」
■いま増える様々なキッチンカー
千葉県・船橋市で2020年6月にオープンしたのは、ジューススタンドのキッチンカー「とことこ」です。
運営するのは、和服などの衣装レンタル会社。
キッチンカー「とことこ」運営 フレンド・森雅美代表「全部、衣装のレンタルがキャンセルになった。いろいろ考えた結果、キッチンカーを導入しようと」
冠婚葬祭や卒業式などが軒並み中止となり、本業の売り上げは約9割減少したといいます。そのため、新規事業としてキッチンカーでのジューススタンドをはじめたといいます。
さらに、2020年5月に東京・豊島区でオープンしたのは、なんと大学の食堂が運営するキッチンカー。
座・ガモールクラシック「鴨台食堂」・鈴木千春さん「今はちょうど学生さんが休みで登校していないんで」
大学は今年の3月下旬から今もほぼ休校の状態で、メーンの客層である学生が激減したため、大学を飛び出て地域の人たちに向けたキッチンカーを始めたということです。
そして、意外なところにもキッチンカーが。25日、東京・新宿にある東京女子医科大学病院の敷地内に到着したキッチンカー。
病院に到着すると、すぐに調理を開始し、できたてのお弁当を病院のスタッフへ無償で提供します。
病院のスタッフに話を聞いてみると。
病院スタッフ「一時の癒やし。ご飯休憩が楽しくなってる」
病院スタッフ「温かいものが届いているので、すごく助かっています」
忙しさのあまり冷たいお弁当を食べることも少なくないという医療従事者に温かい料理を食べてほしいと、複数のキッチンカーが始めました。
呼びかけたのは、エジプト料理が自慢のキッチンカーオーナー・須永さんです。現在クラウドファンディングで資金を集めていますが、足りないため自腹をきって無償弁当を提供しているといいます。
須永司さん(37)「我々キッチンカーは、温かいおいしいご飯をその場ですぐに提供できる。(医療従事者の方たちも)おいしいお弁当を食べてもらって、『うれしいです』といっていただけるとうれしい」
■キッチンカービジネス説明会…東京都も支援
24日、東京・目黒区では、キッチンカービジネスに参入したい人たちに向けた説明会が行われていました。この日の参加者の多くは、新型コロナの影響で窮地に立たされている飲食業界の人たちです。
キッチンカー説明会に参加した・都内の天ぷら店経営者「3密で店舗になかなか客が戻らない。(キッチンカーは)応用・小回りがきく。そういうところが可能性があると感じる」
密回避で客が店に来てくれない中、店内飲食を前提とせず、また、人が多くいる場所に出店できるキッチンカーに将来性を感じるといいます。
フードトラックカンパニー・浅葉郁男代表「(移動販売車の売り上げは)3・4・5月で大体1.5~2倍に増えた。3密ではないテークアウトのキッチンカーというのは、今後かなり選択肢になるのが強みです」
キッチンカーには、東京都も支援に乗り出しています。
キッチンカーでの移動販売や宅配サービス、テークアウトを新たに始める事業者を対象に、最高で100万円の助成金を給付します。
25日までに3000件近くの申請が来ているということです。